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プロ野球スカウト「3位以降はグチャグチャになる」…今年のドラフトはなぜ「不作」なのか? それでも悲観しなくていい理由
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2022/10/13 17:00
ここ数年の球界の状況を踏まえると、今年のドラフトが「目玉不足」「不作」となってしまうのは致し方ないことともいえる
大学野球に目を向けても、明治大2年の宗山塁選手が躍動している。
1年春のリーグ戦途中からレギュラーを掴み、同年秋にベストナインに輝くと、今春のリーグ戦では首位打者を獲得。2年生にして大学日本代表入りを果たした。現在開催されている秋季リーグ戦でも、先日の早大との2回戦で5打数5安打2本塁打と驚異的な打撃を見せるなど、「今、プロに入っても即レギュラー候補」とさえ言われている。
宗山自身、筆者の取材にこう話している。
「僕らは自分のプレーを見せられる場所がなかった分、より一層頑張れました。それまではチームのことをずっと考えていた中で、個々に使う時間が増えて、考える時間がありました。その時に自分の技術を見つめ直しましたし、その時間はすごく大切でした」
眠る原石を見つけられるか?
この二人に共通するのは「コロナによる甲子園中止」の経験。さらに、ドラフト時点ではパフォーマンスを高められなかったものの、その後練習にじっくり取り組めたことで能力を開花させられた例といえる。
そうした現状を踏まえれば、今年のドラフトが「物足りない」と思われるのは至極当然のことである。彼らの顕在化していない能力を見極められるかどうかが、最大の注目ポイントかもしれない。
もっともドラフトとは、未来のチームを支える選手を獲得する会議だ。
即戦力を探すのではなく、数年後を見据えるという観点に立てば、今年のドラフトは「本来あるべき姿」という点も最後に付け加えておきたい。
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