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「平壌にいる仲間たちのことは気になる」まさかのW杯予選辞退…北朝鮮代表Jリーガーが語る夢の終焉「でも、もう悔いも未練もない」
posted2022/10/06 17:00
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
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J.LEAGUE
J2リーグでの今シーズンの成績は6勝13分20敗の最下位。残り3試合で残留かJ3降格が決まるFC琉球に、現役の“代表選手”が在籍しているのを知る人は少ないかもしれない。
朝鮮民主主義人民共和国代表(以下、北朝鮮代表)MF李栄直(リ・ヨンジ)。大阪生まれの在日コリアンフットボーラーで、小学校の時に在籍したFCルイ・ラモスヴェジットでは、元日本代表FW杉本健勇(ジュビロ磐田)ともプレーした。2013年に徳島ヴォルティスでプロデビュー。その後はV・ファーレン長崎、カマタマーレ讃岐、東京ヴェルディとクラブを渡り歩き、2020年にFC琉球に完全移籍して、今季で3年目を迎えている。
10月1日のJ2リーグ第39節。J1昇格を目指す横浜FCとJ2残留を賭けたチーム同士の戦いは、鬼気迫るものがあった。31歳の李はチーム内ではもうベテランだ。若手を引っ張る存在でもあり、センターバックとして最終ラインを統率する。体を張り、戦う姿勢でチームの士気を高めていた。数少ないチャンスが得点に結びつかない状況のなか、横浜FCにPKを与えての失点で0-1で惜敗。
「これが降格するチームと昇格するチームの差なんでしょう。結果がすべて。ただ、今日もこうして来てくれたファンやサポーターのためにも自分たちは最後まで戦います。誰も手を抜く選手はいないですし、最後までやり抜きたい」
諦めない姿勢は実に李栄直らしい。だが、“最後までやり抜きたい”という言葉に、いつも以上に強い意志を感じた。
ソン・フンミンも出場した韓国とドロー
19年9月、北朝鮮代表はカタールW杯アジア2次予選で韓国、レバノン、トルクメニスタン、スリランカが属するグループHに入った。李も北朝鮮代表の一員として参加し、同年10月に平壌で行われた韓国戦にスタメン出場。ソン・フンミン(トッテナム)率いる格上に対して0-0のドローに持ち込んだ。
しかし、思いもよらない事態が襲う。北朝鮮代表は21年6月から韓国で集中開催することが決まっていた2次予選への参加をキャンセルしたのだ。