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“弁護士志望の京大生”はなぜプロ雀士に? Mリーグ実況者・松嶋桃が語る“異色の経歴”「入学したら『麻雀』というワードが飛び交っていて…」
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph byYuki Suenaga
posted2022/10/05 11:00
現在はMリーグの公式実況者としても人気の松嶋桃さん。“異色の経歴”について聞いた
最初は家族麻雀、京大進学でさらにドハマリ
――そして、晴れて京大に合格するわけですが、ここで麻雀の扉を開けるんですか?
松嶋 そうです。もうドハマリして。
――麻雀を覚えたのも京大で?
松嶋 小学校に入る前に祖父から教えてもらいました。家族や親族が集まると麻雀卓を囲む文化があったので、「私もやりたい!」って。おとなが一緒に遊んでくれるのが楽しかったんですよね。
――家族4人で麻雀することもあったんですか?
松嶋 私の大学受験と弟の高校受験が被っているので、その年の頻度は落ちましたけど、それ以外は多い時期なら毎週のようにやっていました。
――麻雀が、家族団らんのツールだったわけですね。
松嶋 うちの家族って「めちゃくちゃ仲いいです」っていう空気は出てないと思うんですね。父と私と弟はわりとサッパリとした性格で個人主義的なところがあるので。でも、振り返ると麻雀があったから適度な距離感を保って仲良くできたなって思うんですよ。
――10代女子はお父さんを煙たがりますが、そういうこともなかったんですね。
松嶋 父のことは、ただのおもしろいオジサンくらいに思っていました(笑)。父に怒られたこともないし、性格も似ていたので居心地がよかったですね。
「入学したら『麻雀』というワードが飛び交っていた」
――その居心地のいい親元を離れた京都で、麻雀との距離がグッと近づくきっかけはなんだったのでしょう。
松嶋 入学したら「麻雀」というワードがあちこちで飛び交っているんですよ。「私、ルール知ってます」と言ったら、物珍しさもあって、みんなが麻雀に誘ってくれて。私としては、こどもの頃に麻雀を通しておとなと遊べて楽しかった感覚と同じですよね。今度は先輩たちだっただけで(笑)。
――そこからどっぷりハマっていくわけですね。
松嶋 細かい戦術を先輩たちが教えてくれるので、それがもう楽しくて。教えてもらうと強くなっていく実感があったし、新たに覚えた戦術は試したい。その繰り返しでした。
――授業はちゃんと出ていたんですか?
松嶋 麻雀店でアルバイトを始めたのもあって、最初の1年間は麻雀であっという間に過ぎてしまって、修得できた単位はたしか8単位……。ただ、本気を出せば「なんとかいけるだろう」と思っていました。
――それで本気を出して卒業し、そこで麻雀プロになるんですか?
松嶋 それはまだ先ですね。卒業するのに必死すぎて就活をしてなかったし、法学部に入学した時点でのビジョンは「将来は弁護士になる……かな?」だったのでロースクール(法科大学院)に進むことにしました。ただ、そこで自分の本質を知ったと言うか……。《つづく》
(撮影=末永裕樹)
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