欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「クボは“便利屋”ぶりをマンU戦で確立。間違っていたのは我々」「過去と別人」番記者も驚く“久保建英ソシエダ即フィットの要因”
text by
ロベルト・ラマホ/ディアリオ・アスRoberto Ramajo
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/09/30 17:03
ソシエダでの序盤戦で出番をつかんだ久保建英。現地番記者のリアル評価はどうなっているか
翌週のバルセロナ戦でもスタートからピッチに立ったクボは、試合には敗れたものの特筆すべきプレーを見せた。アレクサンダー・イサクのゴールに関与しただけでなく、レアル・ソシエダが良い攻撃を仕掛けたシーンには、ことごとく彼の両足が絡んでいた。
再び2トップの一角としてスタートしたこの試合では、流れの中でメディアプンタとしてもプレーした。
彼のユーティリティー性に気づきはじめたイマノルは、続くエルチェ戦でその確認作業を行っている。この試合で指揮官はストライカーを起用せず、“モモ”チョとクボの2トップを採用。2人の「チキティネス(ちびっこたち)」はエルチェの守備陣を混乱に陥れ、1-0の勝利に貢献した。
“便利屋クボ”の役割が確立されたマンU撃破
第4節アトレティコ・マドリー戦では初めてベンチスタートとなったが、それは直後に控えるオールド・トラフォードでの一戦を見据えたローテーションだった。
チームが同点に追いついて程ない後半半ばから出場したクボは、2トップにパスを供給するトップ下でプレー。オフサイドで取り消されたものの、テクニカルなパスでサディクのゴールをアシストしている。
そして忘れがたきマンチェスターでの歴史的な夜に、クボの“便利屋”としての役割は確立された。
オールド・トラフォードの一戦にて、彼は3つの異なるポジションで起用されている。前半はサディクと2トップを組み、左寄りの立ち位置でスタート。前線の相方がアレクサンデル・セルロートに代わった後半開始時は右寄りのポジションに移り、イマノルが4-1-4-1にシステムを変更した後は左サイドに張り出してプレーしている。
クボが最も危険を作り出したのは左サイドに移ってからだった。ビクトル・リンデロフを何度も翻弄したスピーディーで質の高いドリブル突破は試合の均衡を破る鍵となり、ブライス・メンデスの決勝点となるPKを生み出した。
セルロートとの凸凹コンビは互いを生かし合う?
直後のヘタフェ戦では今季初めて精彩を欠いたが、それも長いシーズンにおいては必ずあることだ。この試合でイマノルはシルバをベンチに温存し、クボにその代役を任せたが、激しい蹴り合いが続く中でプレーメーカーの役割を果たすことはできなかった。