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「タナより泣いちゃったと思います」とファンも万感…鈴木みのるが歓喜し、棚橋弘至が涙した“新日本プロレスに声援が戻った日”
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/09/11 17:00
約2年半ぶりとなるファンの歓声に手を振って応える棚橋弘至。試合後には「うれしすぎて、何も浮かんでこない」と感激の涙を流した
「うれしくて、うれしすぎて…」感極まった棚橋弘至
内藤哲也も静かに歓声を受け止めていた。
「かつて、最高の空間というのはレスラーとお客様が一緒に作り上げるものだって言ったことがあったけど、今日試合して、改めて感じましたよ。最高の空間というのはレスラーだけじゃ絶対に作ることはできない。会場のお客様と一緒に作り上げるものだって。今日、歓声ありのプロレスを経験できてよかった。次は『デ・ハポン』の大合唱、お客様と一緒にしたいな」
オカダ・カズチカとタッグを組んでメインイベントに出場した棚橋弘至は感極まっていた。
「ついに、この日が来ました。第1試合から試合を終えて控え室に帰ってくる選手の表情が、まるで違いました。2年半の間、みなさん、拍手での応援、そして新日本プロレスについてきてくれて、ありがとうございました」
棚橋はたとえテストケースでもこの日が迎えられたことを歓迎した。
「うれしくて、うれしすぎて、何も浮かんでこない。今日がまた新たな始まりです。リング上でも言いましたけども、2年半という月日は長かったですが、この2年半を皆さんの声援がたった1日で埋めてくれました。ワープしてきました。まずは第一歩です」
だが、すべてのファンが満足に声を出せたわけではない。拍手というスタイルに慣れてしまったからだ。ある女性ファンはこう言った。
「溜まっていたものをすべて出し切るように声援している人もいて、コロナ前よりもすごい声援に思えました。でも私はあまりにも声出しNG期間が長かったので、溜まっていたものを出し切っている人とは反対に躊躇してしまい、応援したいのになかなか声が出せませんでした。自分の中ではコロナ前レベルの声援はまだまだでした。マスクをしているのもあるのかもしれませんね。なんか、口を押さえられている感じもして。マスクが取れないと、まだまだ私は声援リハビリ中です」