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「せめて5年前に実現していれば…」の塩試合も 金、金、金…“嫌われた王者”メイウェザー45歳、朝倉未来以前のドリームマッチを振り返る

posted2022/09/24 11:05

 
「せめて5年前に実現していれば…」の塩試合も 金、金、金…“嫌われた王者”メイウェザー45歳、朝倉未来以前のドリームマッチを振り返る<Number Web> photograph by Getty Images

元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(45歳)。写真は5年前のMMA王者コナー・マクレガー(右)戦の前日計量で

text by

林壮一

林壮一Soichi Hayashi Sr.

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Getty Images

ボクシングの元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(45歳)が、9月25日に行われる格闘技イベント「超RIZIN」で朝倉未来(30歳)とエキシビションで対戦する。世界一リッチなボクサーとして知られるメイウェザーとは何者なのか? 過去に本人と父親にインタビューしたノンフィクションライター林壮一氏が綴る(全2回の2回目/#1へ)。

◆◆◆

 2005年6月にスーパーライト、翌2006年4月にウエルターと、4階級を制したメイウェザー・ジュニアは、オスカー・デラホーヤとの戦いを渇望し、執拗な挑発を続ける。メキシコ移民の血が流れたデラホーヤを嘲笑うかのようにソンブレロを被って記者会見に現れ、「お前はチキン(臆病者)だ」と鶏の動きや鳴き真似を繰り返した。

 この時、デラホーヤはWBCスーパーウエルター級の王者であり、ゴールデンボーイのトレーナーは息子に解雇されたメイウェザー・シニアが務めていた。

 ジュニアの参謀である叔父のロジャー・メイウェザーは言ったものである。

「兄の教え方が悪いんじゃない。ただ、私のスタイルの方が、フロイドには合うんだ。パワーじゃなくコンビネーションを用いて、よりアグレッシブに戦うことを課している。フロイドのパンチ力は私の現役時代より弱いんじゃないかな。ボクサーは、自分に合ったスタイルを確立しなければならない。長所で短所を補うんだ。

 デラホーヤに対しては十二分な勝算がある。フロイドと彼じゃモノが違うさ。トレーナーとして兄との対決にもなるんだろうが、お互いプロだから気にはならないよ。自分の仕事をするだけさ。まぁ、どちらが優秀なファイターか、そしてトレーナーであるのかを決めたいね」

「息子の敵ならば、200万ドル払ってほしい」

 2007年5月5日、メイウェザー・ジュニアは5階級制覇を成し遂げるべく、デラホーヤに挑む。しかし、シニアはチャンピオンのコーナーから外れた。

「息子の敵として戦うのであれば、200万ドル払ってほしい。関係がどうであれ、私たちは親子だ。血は変わりようが無いんだ」

 シニアはそう述べたが、カネは単なる口実で、息子とリングで向かい合うことを避けたのだ。デラホーヤは130万ドルを支払い、マニー・パッキャオのチーフセコンドであるフレディ・ローチを雇い入れた。

 両者はフルラウンドの攻防を見せ、メイウェザー・ジュニアが2-1の判定勝ちでベルトを奪う。同ファイトは245万世帯が購入し、PPVだけで1億3600万ドル強の収益をもたらした。チケットの売り上げは1841万9200ドルと、ラスベガスで催されたボクシング興行の新記録を樹立した。

 メイウェザー・ジュニアはこの一戦で2500万ドルを手にし、名実ともにスーパースターとなった。デラホーヤは5200万ドルを稼いだものの、ベルトを失い、敗者としてリングを降りた。

 新チャンピオンは試合後に言った。

【次ページ】 なぜパッキャオとの対戦が必要だったのか?

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