「俺はボクシング界の最高傑作だ。現代のベストファイターであることを見せたよな」

　彼が＜MONEY＞を前面に出すのは、このファイト以降である。そして、デラホーヤ戦ほどのモチベーションは見せなくなった。

2007年5月5日、ついに実現したデラホーヤ戦。メイウェザーが2-1の判定勝ちでベルトを奪う　©Getty Images

なぜパッキャオとの対戦が必要だったのか？

　2009年9月のファン・マヌエル・マルケス戦は、自分よりも遥かに体の小さな、少なくとも2階級もの差がある世界チャンプと対戦し、ダウンを奪いながらも仕留めずに判定で勝利した。続く翌年5月のシェーン・モズリー戦では、2ラウンド53秒にモズリーの強烈な右ストレートをクリーンヒットされ、深刻なダメージを負う。その52秒後にもモズリーの右フックを浴び、膝が折れる。

　プロ生活で初めて味わうピンチを凌ぎ、翌3ラウンド以降はペースを握り返して大差の判定勝ちを収めた。その技術と精神力は、確かにパウンド・フォー・パウンドKINGらしかったが、33歳となり、鉄壁を誇ったディフェンスに陰りを見せた。

2010年5月1日のシェーン・モズリー戦。苦戦したものの判定勝ち　©Getty Images

　モズリー戦以降もメイウェザー・ジュニアは連勝を続けるが、1度を除いて全て判定での勝利。元々ハードパンチャーではないものの、ノックアウトアーティストではなくなっていく。

　一方、2008年末にデラホーヤを引退に追い込んだ“パックマン”ことマニー・パッキャオは、ボクシング界で最もファンを魅了する倒し屋として人気を博していた。デラホーヤがパッキャオに対戦を持ちかけた際、「僕はスーパーウエルターから1階級落とす。君はライトから2階級上げてドリームマッチを実現しようじゃないか」と発言したが、自分よりも軽い相手なら間違いなく勝てると踏んでの選択だった。

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