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[腹心が語り合う]森繁和×松井優典「あの二人の野球談義は止まらなくて」
posted2022/09/08 07:01
text by
加藤弘士Hiroshi Kato
photograph by
Takuya Sugiyama
古今東西、名将の陰には必ず名参謀の存在がある。ヤクルト、阪神、楽天と常に野村を支えた松井。落合が全幅の信頼を寄せ、投手陣を任せた森。共にした苦楽と指揮官の素顔を、二人が明かした。
――名将を支えた参謀と呼ぶに相応しいお二人ですが、野村さんと松井さんは15歳離れているのに対して、落合さんと森さんは1歳差。距離感は異なると思います。第一印象はどういったものでしたか。
松井 野村さんと最初に出会った時のことはよく覚えています。南海に入団した1969年の1月31日。高知キャンプが始まる前日、旅館の大広間で選手全員のミーティングがあったんです。ほぼそろっているのに、始まらない。すると野村さんがのっそのっそと入ってきて、床の間にどーんと座った。圧倒的なオーラに驚きました。「4番・捕手」で、まさに雲の上の人。濃い時間を過ごすことになるのは、ヤクルトで再会してからです。野村さんはヤクルトに来たばかりの頃は、チーム内に知り合いもいなくて、僕が話し相手になりました。
森 僕は社会人の全日本で欧州遠征した際、東芝府中の落合さんとチームメートになったのが出会いです。オランダのハーレムからイタリアに転戦して、強豪のキューバと対戦したりしてね。落合さんとは年齢も近いから、一緒に出かけたりもしました。
松井 プロ入りは同じ年になるんだね。
森 僕が西武、落合さんがロッテで。一軍に定着後、西武球場で会った時、「お願いがあるんだ」って声をかけられまして。