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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥が米メディアに明かした本音「真のNo.1だとは今でも全然、思っていない」4団体統一“最後の相手”バトラー戦への対策は?
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byNaoki Fukuda
posted2022/09/06 11:01
8月16日、大橋ジム(横浜)で行われた独占ロングインタビュー。米リングマガジン電子版に掲載された井上尚弥の言葉に、世界中のボクシングファンが釘付けとなった
——ドネアと第1戦の話をすると、いまだにあの第9ラウンドの話が出てきます。右を浴びてぐらついたあのラウンドは、井上選手側から見てもピンチと言える状況だったのでしょうか?どれだけダメージがあったのでしょう?
井上 過去、試合をしてきた中で、一番のピンチ。(右目を骨折した)2ラウンド目の左フックは効いたパンチではなかったのですが、9ラウンドは完全に効かされました。焦りはしましたね。(プロ入り以降、ピンチは)あの瞬間だけです。
——ケガの話をもう一つしておくと、ドネアとの再戦時には左肩を痛めていたと伝えられました。どのくらい深刻なケガだったのでしょうか?
井上 パフォーマンスに影響するほどではなかったです。(パンチの出し方に支障があるとか)そこまでではないです。ただ、試合時はちょっとしたケガがストレスになります。そういった面でのイライラはありました。
——執筆された著書『勝ちスイッチ』の中で、リング上で向かい合えばだいたい相手の戦力や状態がわかると書いていました。あの日のドネアのコンディションはどうだったのでしょう?
井上 良かったと思いますよ。距離感もばっちりでした。自分の攻撃に一つずつ反応していたので、状態がいいなと思いながら戦っていました。ドネアが攻めてきたので結末的にはああなりましたけど、状態自体はよかったと思います。
——いいコンディションの相手を完璧に倒したということまで含めて、あの試合は満足できるものだったのですね。
井上 その通りです。今年で40歳のドネアに体力で勝っても意味がないと思っていました。ドネアがまだキレキレの状態で倒したからこそ、あの勝利には価値があると思うんですよ。
「真のNo.1だとは今でも全然、思っていない」
——あの試合が内容的にも評価され、リングマガジンのパウンド・フォー・パウンドで1位に浮上しました。改めて世界No.1のボクサーとして認められた感想は?
井上 考え、評価は人それぞれありますからね。(ランキング選定員の投票は)1票差だったんですよね? 真のNo.1だとは今でも全然、思っていないです。1票差だったのを、その差をどんどん広げられるようなパフォーマンスができたら、本当に胸を張って自分がNo.1だと言えるんじゃないかと思います。ただ、パウンド・フォー・パウンドに名を連ねているのはものすごい選手ばかりですし、こうやって1位になれたことをすごく誇りには思います。バンタム級で戦う日本人である自分が1位になれたというのは、本当に誇りに思っていいのかなとは思っています。
——ドネア再戦の前まではウシク、テレンス・クロフォード(アメリカ)に次ぐ3位でしたが、1位に浮上したと聞いて驚きましたか?
井上 いや、驚きはしなかったです。あの試合をしっかりと評価してくれるのであれば、可能ではあるのかなと思っていました。
——1位浮上はどういう経緯で知ったんですか?