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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥が米メディアに明かした本音「真のNo.1だとは今でも全然、思っていない」4団体統一“最後の相手”バトラー戦への対策は?
posted2022/09/06 11:01
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Naoki Fukuda
6月7日、ノニト・ドネア(フィリピン)との再戦で圧倒的な2回TKO勝ちを飾ったあと、WBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋)は最も権威があるとされるリングマガジンのパウンド・フォー・パウンド(PFP)・ランキングで1位にランクされた。日本人ボクサーとしてはもちろん史上初の快挙。その栄誉を記念し、8月下旬に井上の独占ロングインタビューがリングマガジン電子版に2回にわたって掲載された。
インタビューでの話題はPFPだけに留まらず、多岐に及んだ。ドネア1、2戦の回顧、WBO王者ポール・バトラー(英国)との間で予定される4団体統一戦の戦い方、スーパーバンタム級転向後の展望、過去最強の相手&最高のパンチ、そして引退時期から引退後の展望まで……。井上の思慮深い言葉は世界中のボクシングファンに届き、Q&A記事は大好評を博した。
今回は、リングマガジン、大橋ジムの了解を得た上で、日本語版をお届けする。
(注)今回のインタビューは井上がPFPランキングでまだ1位にいた8月16日に収録された。同20日付のランキングでオレクサンデル・ウシク(ウクライナ)が1位となり、井上は2位にランクされている。
ドネアの出方も「想定していた通り」
——まずは最新試合を振り返って下さい。6月7日、ドネアとの再戦での出来はベストに近いものだったと話していましたが、自身でもそこまで評価できた理由はどこにあったのでしょう?
井上尚弥(以下、井上) 試合の内容に満足ができたというのが一番ですけど、あとは試合に向けたトレーニングだったり、気持ちの持っていき方だったりも、トータルして良かったなと。その前の試合のアラン・ディパエン(タイ)戦に比べると、やはり気持ち的にも段違いでした。
——ゴングが鳴った以降もやりたいことができた試合だったのでしょうか?
井上 そうですね。ドネアの出方というのも自分が想定していた通りでした。
——ただ、KOはあそこまで早いとは思わなかったのでは?
井上 早いかなという予感はしていましたけどね。ドネアが出てくれば早いのかなというのはありました。今回、自分はディフェンス面をすごく意識して臨んだんですけど、ドネアはそんなにガードは高くないじゃないですか。そこがハマれば早いかなと思っていました。
——多くの人たちにとって、あの2試合目の内容、結果こそが1試合目にこうなるんじゃないかなと思っていた内容でした。
井上 自分にとってもそうでした。ドネアとの1戦目を今、振り返っても、自分は2戦目でやったボクシングをそこでもするつもりだったので。
——1試合目の誤算があったとすれば、やはり右目の負傷が大きかったのでしょうか?
井上 あれがすべてですね。あと、あの時は体重も戻りきっていなかったんです。(前日計量から)当日計量までに3kgくらいしか戻らなかったっていうのはリカバリーミス。それでも動き自体は悪くなかったんですけど、体重の戻りが良くなかったので、(第2戦で見せたような)あそこまでの破壊力を生めたかというと、そうではなかったのかもしれません。