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男子バレー西田有志(22歳)のスゴさとは? 清水邦広が面食らった“物怖じしない世代”のコミュ力「スーパーアグレッシブです、あいつは(笑)」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKiyoshi Sakamoto/AFLO
posted2022/09/05 11:02
当時19歳の西田有志(右から2番目)と初めて会話した時の思い出を語ってくれた清水邦広(一番左、写真は19年W杯)。世界選手権を戦う後輩たちにエールを送った
西田の物怖じしない性格は試合後の姿にも表れている。ネーションズリーグや世界選手権の勝利後のコートインタビューに、西田は通訳を介さず英語で答える。文法や細かいことは気にせず、思い浮かんだ言葉を堂々と発する姿勢があっぱれだ。
清水は「だいたい使ってる単語毎回一緒やなとか思いながらも、『あいつほんまにすごいな』と思って見ています。外国人タイプですよね」と笑う。
「でもそういう選手が増えてきました。西田の姿を見ているからなのか、高橋藍や大塚も全然物怖じせずにやっている。それは今の日本の強みだと思います」
そうして進化してきた日本代表の目線は確実に変わった。今年のネーションズリーグでは、選手たちが「世界ランキング(開幕時点で日本は11位)で自分たちより下のチームには必ず勝つ」と公言し、それを有言実行した。長年アジアのライバルだったオーストラリアや、ランキング的には下でも力があり、以前は勝てないことも多かったカナダやオランダといったチームにも、いい意味の上から目線で、余裕を持って戦っているように見えた。
さらに、ランキングで日本より上位(開幕時点)のイタリア、アルゼンチン、スロベニア、イランにも勝利。今回の世界選手権でも、日本より下位だが個の身体能力が高く、かつては苦手にしていたキューバを3-1で退けた。日本の立ち位置は変わった。
「それはすごく感じますね。やっぱり勝つことが自信になって、『次も(このチームには)こうやったら勝てる』という勝ち癖になっていく」と清水はうなずきつつ、「だけど」と続けた。
強豪ブラジルとの差「後輩たちに託したい」
「ブラジルやフランス、ポーランド、アメリカにはまだ(近年)勝ったことがない。技量、レベルとしては拮抗してきていて、どっちが勝ってもおかしくないところまで来ていると思うんですけど、勝ったことがないから、今回(世界選手権)のブラジル戦でも、名前負けしていたと思います。日本の力を発揮できず、劣勢になるとアタフタしてしまった。他のチームとやる時は、『このポイント欲しい!』という時に絶対に取れているのに、それが取れない。逆にブラジルは、日本に負けたことはないという自信を持って戦った。その余裕の差だと思う。
例えばイタリアに対しては、この数年で何回か勝って、今は対等にやれていると思う。『勝ったことあるから、次も勝てんじゃね?』と強気で挑める。でもポーランドやブラジル、フランス、アメリカに対しては、まだそれがない。僕らの代ではそれができなかったので、そこはぜひ後輩たちに託したいなと思いますね」