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男子バレー西田有志(22歳)のスゴさとは? 清水邦広が面食らった“物怖じしない世代”のコミュ力「スーパーアグレッシブです、あいつは(笑)」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKiyoshi Sakamoto/AFLO
posted2022/09/05 11:02
当時19歳の西田有志(右から2番目)と初めて会話した時の思い出を語ってくれた清水邦広(一番左、写真は19年W杯)。世界選手権を戦う後輩たちにエールを送った
世界選手権決勝トーナメント初戦で、日本はその一角、フランスと対戦する。世界ランキング2位で(日本は7位・9月4日時点)、今年のネーションズリーグ準々決勝でも対戦し0-3で敗れた相手だ。
「日本はサーブがいいし、攻撃も悪くない。でも一番いいのは、僕はディフェンスだと思う。世界で1位2位を争うと思っています。でもブラジルやフランスは日本と同じで、ディフェンスが良くて粘るタイプ。ブラジル戦は、いいラリーにはなるけど、最終的に相手に決められていた。その長いラリーを制することができるかどうかがフランス戦の鍵になると僕は思います。
フランスはブロックもいいので、1本で決めることは難しい。だから何回もリバウンドを取ったり、相手の嫌なところに返したりして、1本で決めようとせず、ディフェンスに自信を持って、しっかり打てる状況を粘り強く作り出す。セッターの関田(誠大)はパイプやミドルブロッカーの使い方がうまいし、ラリー中のパイプはすごく決定率が高いので、そこで最後仕留めるのもありだと思います」
「バレーの魅力を伝えることは、僕の使命」
清水は昨年の東京五輪後、代表引退を表明したが、日本に強くなってほしいという変わらぬ熱を感じる。日本代表の試合は今年も欠かさず見ている。「また代表でやりたい」と思うことはないのだろうか。
「それは思わないですね。純粋に、応援しています。見ていたら、自分も早くバレーやりたいな、すぐに練習したいなと思ったりはしますけど。今の僕は、バレーをどれだけ楽しんでできるか、Vリーグでどれだけ結果を残せるか、この年齢(36歳)でどこまでパフォーマンスを発揮できるかに挑戦しているので、そこにフォーカスしています」
それに加えて、人を楽しませる、バレーボールの魅力を伝えるということに、これまで以上に熱量を注いでいる。8月に行われたVリーグと人気漫画『ハイキュー!!』のコラボイベントでは、漫画の登場人物に扮して髪も思い切って染めた。
「バレーの魅力を伝えることは、僕の使命でもあると思っています。長年日本代表でやってきた中で、なかなか結果が出なくて、低迷してしまったので。つぐない、じゃないですけども、もっと僕らの時代で勝っていたら、バレー人気が上がっていたかもしれないなって、福澤と話したりしていましたから。
今この立ち位置で、1人でも多くの人にバレーの魅力を知ってもらって、バレー人口が増えていけば、強い日本になる。その中から出てきた選手が、世界ナンバーワンスパイカーになる可能性も秘めていると思うので」
“つぐない”という言葉がズシリと胸に重く響いた。
いや、そうじゃない。不遇の時代も、清水や福澤をはじめとする多くの選手たちが懸命にもがき、つないできたからこそ、今がある。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。