競馬PRESSBACK NUMBER
《追悼》タイキシャトルは日本競馬史上もっとも偉大なマイラーだった…クールな岡部幸雄が涙ながらに語った「ジャックルマロワ賞に勝てて、ほんとうに…」
posted2022/08/20 06:01
text by
江面弘也Koya Ezura
photograph by
NIKKAN SPORTS
8月17日、28歳でこの世を去ったタイキシャトル。亡くなったちょうど24年前、タイキシャトルはジャックルマロワ賞(フランスGI)を制覇していた。本日8月20日に、JRAの各競馬場で追悼レースも組まれるGI5勝の最強マイラー、タイキシャトルの足跡を振り返る。
バスラットレオンが逃げて7着に負けたジャックルマロワ賞(フランス・ドーヴィル競馬場)を見ていて、日本馬にとって直線の1600mのGⅠを走りきるのがいかに難しいか、あらためて感じた。と同時に思ったのが、タイキシャトルの偉大さだった。
ジャックルマロワ賞からちょうど24年後の、8月17日
その3日後、余生を送っていたノーザンレイク(北海道新冠町)でタイキシャトルが息を引き取ったというニュースが届いた。28歳、老衰による心不全だったという。前夜までいつもと変わらずに生活していたそうだから、安らかな最期だったようだ。
「先週のジャックルマロワ賞の日本馬出走を見守って安心したのかもしれません」
NPO法人引退馬協会の代表がJRAのホームページにコメントをだしていた。息をひきとったのは8月17日の午前5時だという。タイキシャトルがフランスでジャックルマロワ賞に勝った日(1998年8月16日)からちょうど24年後だった。
タイキシャトルは種牡馬をリタイアした後は認定NPO法人引退馬協会の所有馬に。会費や寄付、助成金収入を用いた馬の里親制度により馬生が支えられていた ©Daisuke Asauchi
タイキシャトルは栗毛のきれいな馬だった。アメリカ産のマイラーらしく筋肉質で馬体も大きい。かといってスピードを前面に出して突っ走るわけでもなく、レースはおとなびていて、目の覚めるような瞬発力を見せるわけでもない。ただ、ほかの馬とは別次元のところを走っていた。そのレースぶりは、岡部幸雄さんが乗っていたシンボリルドルフを彷彿させるものだった。