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なぜ札幌記念にはスター馬が集まるのか? ソダシ厩務員、エアグルーヴ調教師の証言から読み解く“5つの要因”<今年はGI馬5頭が出走予定>
posted2022/08/16 11:01
text by
田井秀一(スポーツニッポン)Shuichi Tai
photograph by
Keiji Ishikawa
今年も北の大地にスターホースが集結する。
8月21日に札幌競馬場で行われるGII「第58回札幌記念」には、昨年の覇者で通算GI3勝を挙げている白毛の女王ソダシ、同期のオークス馬ユーバーレーベン、ドバイターフを逃げ切った令和のツインターボことパンサラッサなど国内外のGI馬5頭が出走予定。
ここに、今秋の飛躍を誓うジャックドール、JRA史上初の白毛対決を実現させた函館記念優勝馬ハヤヤッコも加わり、豪華すぎる“スーパーGII”に「GI昇格待望論」まで噴出する事態となっている。
近2年はGI馬が3着以内を独占
歴代優勝馬に名馬の名前がズラリと並ぶ札幌記念には、「夏競馬を締めくくるGIに」という声が根強くある。特に近年はレースレベルの上昇が顕著で、20年(1着ノームコア、2着ペルシアンナイト、3着ラッキーライラック)、21年(1着ソダシ、2着ラヴズオンリーユー、3着ペルシアンナイト)と2年連続でGI馬しか馬券圏内にきていない。ノームコア、ラッキーライラック、ソダシ、ラヴズオンリーユーの4頭はそののちにさらにGIを勝利。なぜ、全盛期のトップホースが札幌記念に集まるのか。
要因1:秋の路線選択の試金石として
97、98年連覇のエアグルーヴの場合、特に97年は札幌記念が秋の路線を決める分水嶺の役割を担った。「秋の目標を牝馬路線のエリザベス女王杯か、牡馬相手の天皇賞・秋にするか迷っていた」とは同馬を管理していた伊藤雄二元調教師の当時の弁。1番人気に支持されたエアグルーヴは2番人気ジェニュインを寄せ付けずに圧勝。「牡馬相手でもやれる自信が出た」と天皇賞へ駒を進め、17年ぶりに牝馬による天皇賞V(秋が2000mになってから牝馬が勝つのは史上初)の偉業を成し遂げた。
ちなみに、この札幌記念でエアグルーヴの2着に敗れたエリモシックは牝馬路線を歩み、同年のエリザベス女王杯を制している。