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落合博満やONらに並ぶ「3年連続首位打者」なるか? オリ吉田正尚.323vs日ハム松本剛.355…「3分2厘差」でもアツい争いなワケ
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2022/08/16 17:03
7月の月間MVPに輝いた吉田正尚。現在の日本球界で最もヒットが期待できるアベレージヒッターだ
吉田正尚とは同学年の1993年生まれだが、松本は高卒。2011年に2位で日本ハム入りするも、入団から5年で一軍試合出場はわずか25試合。ようやく6年目の2017年に右翼の正位置を獲得し規定打席に到達したが翌年、大田泰示が左翼から右翼にコンバートされたため再び控えとなっていた。
今年になって新庄剛志監督がミート力と俊足を高く評価して上位打線で起用、3,4月(.418)、5月(.359)、6月(.272)、7月(.385)と好調を維持し、気がつけば打率.355でダントツの1位となった。
しかし7月19日のオリックス戦で自打球を左膝に当て、精密検査の結果、左膝蓋骨下極骨折が判明。登録抹消になった。この間に故障明けの吉田正尚が規定打席に到達して打率2位につけている。
松本が残り試合で打率3割なら、吉田はどれだけの成績で逆転?
<8月15日時点での両者の成績>
松本 剛 304打数108安打 率.355
吉田正尚 294打数95安打 率.323
その差3分2厘、常識的に考えれば吉田が松本に追いつくのは容易ではない。
しかし規定打席到達が1度の松本と、4年連続3割、2年連続首位打者の吉田では「経験値」で大きな開きがある。この2人は今後、首位打者争いのデッドヒートを繰り広げるのではないか。
松本は8月14日のイースタンリーグDeNA戦に出場、1安打を打った。早ければ16日にも一軍復帰する。しかし故障明けすぐということもあり、フル回転できるかどうかはわからない。一方で吉田正尚は、調子が上向きで、3,4月(.330)、5月(.300)、6月(.250)、7月(.322)と来て8月は(.405)と大当たりしている。
日本ハムは残り37試合、オリックスは33試合。仮に松本剛が残り試合を打率3割でいっても――絶好調の吉田が残り試合を.380ペースで行くと、最終成績はこうなる。
吉田正尚 405打数138安打 率.341
松本 剛 440打数149安打 率.339
四球が多くて打数が少ない吉田は1本あたりの安打の「打率」が松本よりも高い。追いつく可能性はあるのだ。そんなに都合よく逆転できるか、と言われそうだが、このデッドヒートはありうる話だろう。
後半戦以降、吉田の後ろを打つ杉本が復調したうえに、中川圭太が信頼できる打者に成長し、吉田へのマークが軽減されている。今季から背番号が「34」から「7」になった吉田は3年連続首位打者になれるか?
3年連続首位打者、過去の6人はどんな顔ぶれ?
3年連続となれば、NPB史上7人目となる。過去の6人は、綺羅星のような顔ぶれだ。