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落合博満やONらに並ぶ「3年連続首位打者」なるか? オリ吉田正尚.323vs日ハム松本剛.355…「3分2厘差」でもアツい争いなワケ
posted2022/08/16 17:03
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
今年のオリックス・吉田正尚は満身創痍と言っても良い。
5月8日に新型コロナで陽性反応が出て登録抹消、5月17日に復帰するも5月21日には左足の故障で登録抹消。6月3日に再度復帰したが、オールスター直前にも故障してホームランダービーを欠場。何とか出場したオールスター第1戦では死球を右足に受け、途中で退いたが、第2戦は代打で出場して二塁打を打つも、一塁を回ってからはゆっくり走っていた。
昨年は86試合で外野を守ったが、今季は守備に就いたのは27試合だけで、あとはDH。6月に復帰してからは5試合で左翼を守っただけだ。
本来ならば、万全なコンディションになってから出場すべきではあるが、チーム事情がそれを許さない。関西在住の筆者はオリックスの試合を見続けているが、オリックスの打線は吉田正尚がいるといないとでは全く違うのだ。
吉田正尚の真骨頂「三振の少なさ」が今季は…
吉田は3番か4番を打つ。彼はしばしば緊迫した状況で打席に立ち、自らのバットで展開が一変するような殊勲打を打った。厳しい表現になるが、他の打者は単に“3番目か4番目の打者”という印象だった。
万全ではないコンディションは、数字にも表れている。吉田正尚は当代で最も三振しない打者だったが、今年はやや増えている。
2020年 29三振/120試合(1試合当たり0.241個)
2021年 26三振/110試合(1試合当たり0.236個)
2022年 30三振/86試合(1試合当たり0.349個)
昨年は、青学大の先輩である杉本裕太郎がブレークし、本塁打王を取って3割をマーク。不動の4番打者となった。吉田は3番に座ったが、後ろに杉本がいることで勝負されることも多かった。気持ち的にも少し楽になったのではないか。
しかし今季は杉本が大不振に陥り、外国人や他の打者も成績が出ず、吉田は長打を打とうと昨年よりもバットを振り回した嫌いがある。
しかしそれでも規定打席以上の打者で30三振は、日本ハム松本剛の28個に次ぎ2位の少なさだ。
極端な「投高打低」の中で3割を打つ2人
今季のNPBはノーヒットノーランが4回も出るなど極端な「投高打低」になっている。とりわけパ・リーグでは3割打者はたったの2人。吉田正尚はそのうちの1人だから、満身創痍でも大したものだ。
現在のパの首位打者は、松本剛である。