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羽生結弦の“決断”はフィギュア大国ロシアでどう受け止められたのか?「神から与えられたスケーター」「ユヅルは気さくで親しみやすく…」
text by
栗田智Satoshi Kurita
photograph byJIJI PRESS
posted2022/08/03 17:00
2014年ソチ五輪での羽生結弦とエフゲニー・プルシェンコ。ロシアの“皇帝”は羽生を「フィギュアスケート史上最大のスター」と評した
「今日、良き友人であり、フィギュアスケート史上最大のスターである傑出したスケート選手、羽生結弦が引退を発表したことを知りました。彼がフィギュアスケートのためにしてきたすべてのことに感謝しています。プロとしてのキャリアが最高のものになること、そしてさまざまなショーで世界中の人々を喜ばせてくれることを心から願っています。今後の活躍を祈ります、わが友ユヅルさん」
“ユヅロス”から早くも競技復帰を望む声も
振付師でありアイスショーのプロデューサーでもあるイリヤ・アベルブフは、羽生を「神から与えられたスケーター」と称えた。
「羽生結弦は時代や民族の枠を超えて優れた選手です。彼の名はフィギュアスケートの黄金の殿堂に刻まれました。彼は限界を押し広げ、美を発展させ、フィギュアスケートを新たな高みへと昇華させることに多大な貢献をしました。ヤグディンとプルシェンコに続き、男子フィギュアをまったく別のレベルに引き上げる人物です」
今後については、「彼は日本だけでなく世界で絶対的なアイドルです。今後何年にもわたってあらゆるアイスショーで需要があるでしょう。しかし、彼は挑戦を諦めることをしませんから、もしかしたら30歳を超えてもなお、また五輪に戻りたいと思うかもしれません。ただ、今は競技から離れて、何か別のことに挑戦しようとしているのでしょう」との見方も示した。
アベルブフに限らず、“ユヅロス”から早くも復帰を望む声は、実はそこかしこで上がっている。アイスダンス選手でソチ五輪団体金メダルのドミトリー・ソロビヨフも、「羽生の決断はファンにとってある種の心の傷になるでしょう。彼の演技は多くの人の記憶に残ります。今後プロとして何年も私たちを喜ばせ、世界中を回ってくれることを願っています。しかし、きっと彼は競技の舞台が恋しくなると思いますよ」と話している。