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羽生結弦の“決断”はフィギュア大国ロシアでどう受け止められたのか?「神から与えられたスケーター」「ユヅルは気さくで親しみやすく…」
text by
栗田智Satoshi Kurita
photograph byJIJI PRESS
posted2022/08/03 17:00
2014年ソチ五輪での羽生結弦とエフゲニー・プルシェンコ。ロシアの“皇帝”は羽生を「フィギュアスケート史上最大のスター」と評した
羽生が「コオオオフたああああん!」と叫んでハグを…
世界選手権に5度の出場を果たし、2019年に引退したマキシム・コフトゥンは、大会でのエピソードを交えてこう回想している。
「ユヅルと世界の舞台で戦うことができたことは光栄なことです。かけがえのないすばらしい経験でした。大会で会うといつもうれしそうにしてくれて、気さくで親しみやすい人でした。いつだったか通路ですれちがうとき、彼は『コオオオフたああああん!』とおかしな叫び声を上げて走ってきてハグをしたのを覚えています。演技後はいつもファンが数えきれないくらいのぬいぐるみを投げ入れましたね。リンクが見えなくなるほどでした。そしてスタンディングオベーション」
そして、「ユヅルはフィギュアスケートを変えました。心の底からそう言えます。彼は真のレジェンドであり、他に言葉はいりません」と賞賛した。
ザギトワは慣れない日本語で「頑張れよ。伝説」
「легенда(レジェンド、伝説)」は、ロシアでも同様に、優れた功績を残した偉大な人物を表す言葉だ。ロシアの若手選手たちも羽生のことをこぞって「レジェンド」と呼んでいる。
2018年平昌五輪の女子シングル銀メダリストとして知られるエフゲニア・メドベデワは自身のInstagramで、2016年GPファイナル、エキシビションのフィナーレでの画像とともに、「引退おめでとう、レジェンド」とのコメントを残している。
羽生と同じく平昌で金メダルを獲得したアリーナ・ザギトワは、2人で撮った同五輪でのセルフィーとともに、日本語で「頑張れよ。伝説」(翻訳の問題か、やや上から目線なのはご愛嬌)、さらに2022年北京五輪の金メダリストであるアンナ・シェルバコワは「真のレジェンド」、アリョーナ・コストルナヤは「グッドラック、レジェンド」とのメッセージを贈り、新たな旅立ちに声援を送っている。
彼女たちの言葉通り、羽生結弦はまさにレジェンドであり、後世に永く語り継がれる選手だ。フィギュアスケート大国のロシアでも愛され、リスペクトされていることが、多くの関係者の反応から窺える。そして誰もが、伝説の第二幕を心待ちにしている。
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