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大谷翔平の投球に“苦笑した”敵軍監督「打者は2種類のスイングを強いられる」冴えまくっている“スライダー”に隠された秘密とは
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2022/08/01 17:00
ベーブ・ルース以来の「二桁勝利&二桁本塁打」の偉業達成は持ち越された大谷。対戦チームの選手と監督が、その投球の凄まじさを解説した
「できれば対戦したくない相手だね(苦笑)。スライダーは左打者の外角と内角ではまったく違った軌道を描き曲がってくるんだ。だから打者は2種類のスイングを強いられることになる。それでいて直球は100マイル(約161キロ)で飛び込んでくるし、ナスティーでえげつないスプリットが落ちる。彼を打ち崩すのは難しいよ。今日は2点とれて幸運だった」
そのスライダーを捉え、4回に先制本塁打を放った4番のローは言った。
「今日の彼の投球傾向から考えれば、あの球が鍵になると思った。でも、彼のあのエリートな直球には敬意を払わないといけない。100マイルの直球はどうしても先入観が強くなってしまう。でも100マイルを見れば、僕が打った86マイル(約138キロ)のスライダーはまだ少しましかな(苦笑)。うまく打てて良かったよ」
元チームメイトが語る「大谷はプラスアルファにして投げてくる」
大谷は自身の投球の組み立てについて、こんな言葉を使った。
「基本的な流れはもちろん用意しています。あとはゲームの中でいろいろ変えてくるところはあるので。まぁ、その都度その都度で変わると思います」
この言葉を少し具体的に説明してくれたのが19年までのチームメート、仲も良かった7番打者カルフーンだった。
「前回の対戦で彼はカットボールをたくさん投げてきたんだ。今回はスライダーだったね。彼はプラスアルファにして投げてくることができる。そういう力を持っているんだ。だから我々は多岐に渡り対応しなければならない。今日勝てたことは、我々の先発投手であるハワードが0点に抑えてくれたことが大きいんだよ(笑)」
二刀流だからこその“敗戦の弁”の中身
前回7月22日のブレーブス戦では6回零封も7回に6失点。今回は6回2失点で敗戦投手。大谷が好投しても、打線が得点を挙げなければ試合には勝てない。そんな試合が続く中で大谷は二刀流らしく今回の敗戦の弁を語った。
「今日に関してはスコアリングポジションの2打席目ですかね。あそこでやっぱり打てているか、打てないかが、チームの勝ちにはだいぶかかわってきているとは思う。自分の責任かなと思います」
その場面は0−0で迎えた3回1死二塁だった。5月7日以来久々に復帰した最も仲のいいデービッド・フレッチャーが二塁打を放ちチャンスメークした場面。だが、大谷は初球のカットボールを打ち損じ平凡な二ゴロに倒れた。エンゼルスは1点も奪えなかった。