酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「オオタニ28歳=35本塁打が狙える大エース」 働きすぎと“お先真っ暗エ軍のトレード話”は心配だが…〈大谷翔平の成績を昨年と比較〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2022/07/17 17:04
2ケタ勝利目前など、投手としての活躍が目立った前半戦の大谷翔平。オールスターを経て、どんな数字を残すか
昨年はこの時期まで1059球を投げてストライクは641球、ストライク率は60.5%と並みの数字だった。しかし今季は1384球を投げて911球、ストライク率は65.8%と一線級の先発投手の数字になっている。
マウンドでの姿を見ても、下半身がどっしりと安定して、速球、スライダー、カーブなどで楽にストライクを取っている。投手の安定感の指標であるK/BB(奪三振数÷与四球数)はリーグ平均レベルの2.49からトップクラスの5.55まで上昇している。
大谷翔平28歳、実はもう若手ではない?
今季の大谷翔平は、打者としては「強打者のレベル」を維持しつつ、投手として「並みの先発」クラスから「リーグのエース級」へと進化したのだ。昨年のような派手さはないが、それでもすごいことだとは思う。
しかしながら――繰り返しの老婆心になるが「少しは休めよ」と言いたくなる。大谷翔平は28歳になった。MLB打者の平均年齢は28.5歳、投手は28.8歳、実はもう若手ではないのである。
<MLBでの打席数と対戦打者数を合計した数字のランキング> ※7月15日時点
大谷翔平(エンゼルス)725(378打席+347打者)
アルカンタラ(マーリンズ)524(524打者)
レイ(マリナーズ)471(471打者)
バルデス(アストロズ)470(470打者)
コービン(ナショナルズ)468(468打者)
ノラ(フィリーズ)459(459打者)
※打者ではオルソン(ブレーブス)の406(406打席)が最多。
大谷は打者として378回投手と対戦し、投手として347回打者と対戦している。昨年までならナ・リーグはDH制がなかったから、ナの投手は申し訳程度にせよ打席に立ったが――今やエース級の投手で、打席に立つのは大谷翔平だけになっている。働きすぎなのは間違いない。
昨年も大谷は639打席に立つとともに、533人の打者と対戦した。合計1172はもちろんMLBでダントツの1位だった。大谷はマドン監督と話し合い、投手、打者でのフル出場を決断した。シーズン中も体調について常に相談し合っていたが、今季は6月でマドン監督が解任されてから、出場の可否について大谷本人の判断に預けられている可能性がある。これも気がかりだ。
HRダービー回避は賢明な判断と言えるワケ
今年のオールスターゲームはロサンゼルスのドジャースタジアムで行われる。