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那須川天心のボクシングの実力は「現時点で日本~東洋太平洋王者レベル」 敏腕トレーナーが語る成功の可能性と“わずかな不安要素”
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byTHE MATCH 2022/Susumu Nagao
posted2022/07/06 17:02
『THE MATCH 2022』でもボクシングテクニックで優位に立っていた那須川天心。ボクシング転向後の可能性を山田武士トレーナーに聞いた
村田はデビュー戦で実力が未知数の外国人選手ではなく、日本人の、しかも東洋太平洋王者に勝利したことで「もはや実力が国内レベルではない」ということを1試合で証明してみせた。これにより、その後は対戦相手の資質をとやかく言われることはなかった。この“村田方式”が那須川にも適用されるのでは、というのが山田トレーナーの見立てだ。
山田トレーナーが推す相手は元K-1王者・武居由樹
対戦相手にはズバリ、K-1王者からボクシングに転向した武居由樹(大橋)を推す。
「天心は『THE MATCH 2022』で契約体重の58.0キロを余裕でクリアしました。ボクシングではスーパーバンタム級(55.3キロ)がちょうどいいと思う。村田選手の例にならえばデビュー戦の相手は地域王者クラス。となると8月26日の試合に勝てば東洋太平洋スーパーバンタム級王者の肩書きがつく武居くんの名前が真っ先に挙がります。武居くんは並の地域王者に比べても知名度が高い。先にボクシングデビューした武居くんにすれば引き立て役にされてたまるかと燃えるものがあるし、天心も武居くんなら楽に勝てるとは思わないからそれがモチベーションになる。個人的にもぜひ見たいカードです」
山田トレーナーは続ける。
「2人が高校生のときに、たまたまうちのジムで一緒になったのでスパーリングをさせたことがあるんですよ。そのときは微妙にですけど武居くんのほうが良かった。今やっても五分だと思う。勝ったほうは大きく羽ばたいていくのは言うまでもないでしょう。やっぱりデビュー戦じゃないですか、天心と武居くんは」
那須川のボクシングデビュー戦が大注目を集めるのは間違いないだろう。対戦相手を含め、はたしてどんな初陣が用意されるのか。新しい時代の幕開けがゆっくりと近づいている。
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