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《衝撃KOデビュー》“次世代モンスター”今永虎雅(22)とは何者か? 井上尚弥を上回るアマ戦績も「全く別の世界。騒がれるのは苦手」
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph byShimei Kurita
posted2022/07/04 11:03
プロデビュー戦を前にインタビューに応じた今永虎雅(たいが・22歳)。鮮烈TKO勝利を飾ったことで、注目度はさらに高まった
6月29日に行われたデビュー戦、浜崎隆広(36歳、仲里ジム)との対戦では左ストレートでダウンを奪うと、右フックで2R・TKO勝利を飾った。過去のアマ10冠などの実績がメディアの見出しを躍ることについて「今後そういう見られ方がつきまとうのは勘弁して欲しいです」と苦笑いしていたが、自らの拳で前評判の高さを証明した形となった。
試合後はポーカーフェイスを崩し、「メチャクチャ緊張しました」と笑顔も見せた。安堵もつかの間、その2日後には福岡・糸島で合宿に入るという異例のスケジュールで猛トレーニングを重ねるなど、既に次戦を見据えている。
所属する大橋ジムの大橋秀行会長は、今永の将来性についてこう表現する。
「アマチュアであれだけの実績があるわけだから、当然技術もパンチもある。あとは、感心するくらいよく練習をする選手です。しかし、ライト級の世界は化け物達の巣窟。いばらの道であることは、本人も分かっている。それでも期待してしまう素質が今永にはあるんです」
「八重樫さんと一緒なら、成長できる」
歩んできた道はエリートそのものだが、内に秘めるのは雑草のようなハングリー精神だ。分かりやすい派手なパフォーマンスを演じるわけでもなく、多くを語るわけでもない。ひたすら実直に、当たり前のように日々厳しいトレーニングを積み重ねたことが今永のボクサーとしての評価を形成してきた。
「あんまり先のことは考えない性格なので。でも、それでも、八重樫さんと一緒なら、もっと成長できる。上を目指せるという手応えも感じ始めています」
決して自己表現が得意ではない大物ルーキーだが、そう力強く言い切ったことが印象的だった。プロとしての第一歩を踏み出した今永は、3階級制覇の元世界チャンピオンとの強力タッグで世界を見据え研鑽に励んでいく。
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