《衝撃KOデビュー》“次世代モンスター”今永虎雅（22）とは何者か？ 井上尚弥を上回るアマ戦績も「全く別の世界。騒がれるのは苦手」

「プロとアマは全くの別世界。高校8冠とか、アマ時代の成績がついて回るのはプレッシャーでしかないですよ。本当は騒がれるのも苦手なんです」

　ボクシング史上初の高校8冠、アマ10冠と華々しい経歴を持つ今永虎雅（22歳・大橋ジム）は控えめな男だ。対面すると、その飾らない人柄がすぐに伝わってくる。シャイで人見知りな性格ゆえに、取材日の時点では「雲の上の存在」と話すジムの先輩・井上尚弥とはまだ言葉を交わしたこともないと明かした。

　アマ戦績は126戦113勝。まさにアマチュアスーパーエリートともいえる出色の戦歴の一方、令和の時代を生きる若者らしいというべきだろうか、キャリアについて尋ねると、ビッグマウスからはかけ離れた堅実な言葉を紡ぐ。

「中学時代“クソガキ”だった反動ですかね（笑）。調子にノらないように、という意識は人一倍強いのかもしれません。『世界へ』と言うのは簡単ですが、この階級（ライト級）は怪物だらけです。これまでのように目の前の一戦一戦に向けてトレーニングをして、自分と向き合っていく。それはプロになっても変わりません」

　どこか達観したような印象すら受けるが、源流に流れる芯の強さは揺るぎがない。ボクシング界の期待を集めるルーキーの軌跡を辿ると、その言葉の真意が見えてくる――。

春から大橋ジムに所属し、ボクシングに打ち込む今永虎雅。引き締まったボディと立ち振る舞いにすでに風格を感じさせる（写真・大橋ジム提供）

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ボクシングと出会ったのは12歳

　大阪・河内長野市で生まれた今永がボクシングと出会ったのは12歳のときだ。5歳で空手を始め、当時好きだったという「K-1」などの影響もありキックボクシングを志したこともある。だが、父の勧めもありボクシングジムの門を叩くとこれが見事にハマった。

「他の格闘技よりも自分の中で“合っているな”という感覚があったんです。大した努力もせずにすぐに強くなって、同世代には負けるわけがない、という根拠のない自信に満ちていた。自分は格闘技の世界でプロになる人間なんだ、とずっと思ってきましたが、『ああ、それがボクシングなんだ』という意識も生まれました」

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