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「当然の完勝」ラグビー日本代表の次戦は世界2位フランス…注目は“荒々しさ”が戻ってきたリーチマイケルと堀江翔太の“冷めた視点”
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAtsuhi Kondo
posted2022/06/28 11:00
激しいポジション争いに身を置くリーチ マイケル。ウルグアイ戦では反則もあったが、“荒々しさ”が戻ってきた
ウルグアイ戦、リーチは体を張ってリーダーシップを発揮できる選手であることを改めて示した。ところが、勢い余ってのペナルティが多かったのもまた事実だった。激しいポジション争いが、リーチのディシプリン、すなわち「規律」に影響を与えたのだろうか?
リーチは激しい人である。
昨秋に行われたポルトガルとのテストマッチでは、後半開始早々にシンビンを科せられ、それがチームに苦境を招いたこともあった。
リーチはまだ33歳であり、ようやくベテランの領域に差し掛かったというところだと思うが、まだまだ若武者のような魂を失っておらず、それが時として空回りする。
それでも、リーチの荒々しさが戻ってきたこと自体は大いに歓迎したいと思っている。
フランス戦では、この反省が生きることを期待したい。
“らしさ”が光った36歳堀江翔太
それにしても、ラグビーっていろいろな選手がプレーしているな……と改めて感じたのは、リーチと同じくW杯3大会連続出場の経験を持つHO堀江翔太のプレーを見たからだ。
堀江は36歳の年男。しかし、「フィジカルは今までにないほど充実してます」と話し、年々味わいを増している。リーグワン初年度のMVPにも輝いたが、そのほとんどがリザーブでの出場だったことを考えると、短時間で分かりやすいインパクトを与えられる選手だ。
パナソニックワイルドナイツでは勝利のために最後に登場する「クローザー」的な役割を担っているが、ウルグアイ戦でも後半22分から登場すると、安定したラインアウトスロー、そしてアタックでの絶妙なタイミングでのパスなど、堀江らしさを見せた。
フランス戦で堀江に期待したいのは、彼の「冷めた目」だ。
規律、反則といったことに関しては、堀江の存在が「ゲームチェンジャー」になり得るからだ。