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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
《ドラフト中間報告》これが野手“ドラ1候補”ベスト10…大阪桐蔭から“あの捕手”、プロ野球スカウトが語る「“指名漏れ”社会人の事情」も
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2022/06/19 17:00
ドラフト中間報告【野手編】6位 田中幹也・遊撃手(亜細亜大〔東海大菅生高〕・166cm64kg・右投右打)
【野手編】8位 林琢真・二塁手(駒沢大〔東邦高〕・174cm74kg・右投左打)
見た目よりずっと大きなプレーをやってのける意外性の塊。だから、記憶に残るシーンがいくつもある。
マウンド横に上がった小フライを、深めに守っていた林二塁手が猛然とチャージしてスライディングキャッチ。二塁ベース後方で捕球したゴロを、ほとんど一塁を見ずにジャンピングスロー。スライダーを呼び込んで、ライトポールはるか頭上にあわや場外の大ファール。その直後にジャストミートのコンパクトスイングで右翼ライナー弾。
天才的なスーパープレーもできるから、もったいない打席やポカも時には挟まるが、突き抜けたセンスを持った選手は、より高いレベルに置いた時ほど、その輝きを増す……私の絶対経験則に当てはまる選手とみる。
こういう選手にポジション1つ任せて、1年間辛抱して使ったら、ちゃんと「結果」を出してくる。今のプロ野球でいえば、オリックス・福田周平外野手の社会人当時がピッタリ重なる。
【野手編】7位 松尾汐恩・捕手(大阪桐蔭高・179cm78kg・右投右打)
以前、いいキャッチャーがいない、いないと話題になった時、上手なショートを連れてきて「捕手」に育てれば……と書いたことがあるが、そのまんまのプロセスで新しいタイプの好捕手の卵が現れた。
上手なショートの良い所を、全部キャッチャーとしてのプレーに盛り込んだ……そんなふうに見える。ショートバウンドはミットを滑らせるように吸収できるし、しなやかな腕の振りはスピード抜群で盗塁を刺し、バットヘッドが最後の最後にビューン!と跳ねるようなバッティングにも、ゴムのように弾力性の強い両腕のハンドリングが発揮される。
昨秋、神宮のレフト中段弾を目撃しているが、今春は、和歌山・紀三井寺野球場の高い高い左翼ネットを越える大放物線を放ったと聞く。この先の木製バットの野球を考えると、この夏は、右中間方向に快打・長打を期待したい。
何より、大阪桐蔭高野球部3年間の教育とサバイバルを経験しているという事実が心強い。