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井上尚弥は本当にドネアを圧倒できる? 米国記者が冷静に分析「今のドネアには新しい力が宿っている」「井上の決断力と度胸が試される」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi/AFLO
posted2022/06/07 06:01
世界が注目するノニト・ドネア(39歳)との再戦に向けて、着々を準備を進める井上尚弥(29歳)
井上は今回もボディ攻めに主眼を置くべきと考えます。第1戦で決定的なダウンを奪ったようなボディブローを継続的に放てれば、今度こそ試合を途中で終わらせ、同時にドネアのキャリアをも終焉させることになるかもしれません。
ドネアの方は、恵まれたフィジカルの強さをアドバンテージとして生かしていくことが今戦の鍵になるでしょう。より長身のドネア(170cm、井上は165cm)は最初の数ラウンドは距離をとって戦い、井上がその距離を詰めるためにより多くのエネルギーを必要とするような展開にできたら面白くなると思います。その時には、真の意味で井上の決断力と度胸が試されることになるんじゃないでしょうか。
もしもここでドネアが井上に勝つようなことがあったら、それはとてつもないことです。その時には将来の殿堂入り選手という立場は確固たるものになり、いわゆる“オールタイム・グレート”という評価も確立されるはず。40歳を目前にして、多くの媒体が発表するパウンド・フォー・パウンド・ランキングにも再び名前を連ねるのでしょう。
勝者はバンタム級最強の王者に
私はもともと試合前に勝敗予想をするのが好きではなく、特に大好きな2人のボクサーがかかわった統一戦であればそれはなおさらです。ここではっきり言えるのは、今回もハイレベルの試合になるのは必至だということ。そして、勝者は満場一致でバンタム級最強の王者として認められるだろうということ。再戦に勝ち残り、3団体統一王者となった選手は、棚ぼたのような形でWBO王者になったポール・バトラー(イギリス)と戦う必要があるとは思いません。もちろん4団体統一王者が生まれればそれは“ボーナス”ではありますが、“不可欠”ではないというのが個人的な思いです。