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人格者マタは「クラブの文化をリセットした方がいい」と絶望…時代に取り残されたマンUに未来はあるか? 《レジェンドOBも「かなり深刻な状態」》
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2022/06/01 06:02
今季のリーグ戦では6位に終わり、来季のCL出場権を逃したマンチェスター・U。プレミア随一の名門はかつての強さを取り戻せるだろうか
ギャリー・ネビル、ポール・スコールズ、リオ・ファーディナンドといったOBたちも、口を揃えて「かなり深刻な状態」と古巣を憂えていた。
「態度の悪い選手が少なからずいる。クラブの文化をリセットした方がいい」
どのような状況下でもポジティブな発信を続けた人格者ファン・マヌエル・マタでさえ、現状に絶望している。
今シーズンはリバプールに0-4、0-5、レスターに2-4、ブライトンに0-4、シティとワトフォードに1-4と6回も大敗を喫した。総失点もプレミアリーグ発足後でワーストとなる57。勝点(58)と負け数(12)も最低記録だった。
クリスティアーノ・ロナウドとダビド・デヘアを除く大半の選手たちが気概すら見せず、無様な姿を晒してシーズンを終えた。
ユナイテッドの再建を託されたエリク・テンハフ
瓦解したユナイテッドの再建を託されたのが、エリク・テンハフだ。彼はアヤックスを率いていた5年間同様、以下の7項目を基本戦略に設定する。
1.ライン間におけるプレー
2.中間ポジション
3.スペースメイク
4.不用意なボールロストは厳禁
5.拙速、性急なプレーは避ける
6.サイドチェンジは頻繁に
7.後方からの抜け出し
ただ、基本戦略をレクチャーする前にロッカールームの整備に着手しなければならない。自らを過大評価する者、走りもしないし闘えもしない者を排除することが再建の第一歩だ。新監督は選手一人ひとりと面談し、その質疑応答から数人を篩にかけるともいわれている。
退団必至のC・ロナウドは残留へ
現時点で退団が決定しているのは、エディンソン・カバーニとネマニャ・マティッチ、ポール・ポグバの3人だけだ。6月末日に現行の契約が満了を迎える、マタとジェシー・リンガードはテンハフとの面談が終わっていないために去就は流動的だ。
ライン間のプレーを重視し、前に急がずじっくり攻めるテンハフの志向を踏まえると、リンガードとマタは貴重な戦力と捉えられるかもしれない。
退団必至という情報が多数を占めていたC・ロナウドも、「来シーズンこそタイトルを勝ち取ろう」とソーシャルメディアで発信。スポンサーとサポーターは安堵した。
ただ、CL出場権を逸している。ハイレベルな戦いを望むビッグネームの獲得は難しい。この2年、つねにリンクされてきたデクラン・ライス(ウェストハム)、ハリー・ケイン(トッテナム)とは交渉するだけ時間の無駄だ。