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『砂まみれの名将 野村克也の1140日』新人記者が見つめた野村克也の“空白ではなかった”3年間。 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2022/05/28 07:00

『砂まみれの名将 野村克也の1140日』新人記者が見つめた野村克也の“空白ではなかった”3年間。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『砂まみれの名将 野村克也の1140日』加藤弘士著 新潮社 1650円

 野村克也が野球界と日本社会に残したものは実に多い。その証拠に『野村本』と称されるものは数多い。だが、あまり語られていないのが2001年の沙知代夫人の逮捕により阪神の監督を辞した後に指揮を執った社会人野球・シダックスでの3年間だ。

 砂埃舞うグラウンドで、若者たちと汗を流し『野村再生工場』の異名をとった野村自身が再生していく。それを当時28歳の新人記者が見つめ、かつての選手・スタッフら関係者の証言を拾い上げていく形で、これまでの書籍以上の野球人・野村克也の姿が見えてくる。

 華やかなプロの舞台から一転した環境について著者が尋ねた際、「野球が好きだからな。俺から野球を取ったら、何も残らないだろ。野球があれば、こんなに幸せなことはないよ」と答えたのは偽らざる本音だろう。

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