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「彼女いない歴〇年」“残念”な流行語が生まれた日…恋人なし男女のお見合いパーティーで視聴率21%、とんねるずの早すぎたリアリティショー 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byBUNGEISHUNJU

posted2022/10/13 11:00

「彼女いない歴〇年」“残念”な流行語が生まれた日…恋人なし男女のお見合いパーティーで視聴率21%、とんねるずの早すぎたリアリティショー<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

帝京高校の野球部だった石橋貴明(左)とサッカー部出身の木梨憲武。とんねるずの結成は1980年だった

 それでもめげずに、91年開始の『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』内のPK対決が大人気に。ジーコやラモスが番組出演を楽しみにするほどで、瞬間視聴率も27%近くまで達し、「木梨さんはとにかくJリーグ人気に貢献大ですよ。とくにテレビでのPK合戦は、サッカーの面白さをアピールし、若い人の関心を高めてくれていて、大変感謝しています」となんとJリーグの川淵三郎チェアマンまでもが感謝の言葉を口にする。ちなみに巨人時代のアイドル定岡正二を知らない世代も、PK対決の“ナイアガラ・ドロップキック”でへなちょこサダを知ったのである。

〈ガラガラヘビがやってくる〉なんてシャウトしたかと思えば、ときに『情けねえ』や『一番偉い人へ』でしっかりキメる。面白くて格好良くておネエちゃんにモテてて、スポーツ万能の兄貴分という、まさにバブル期のネアカ体育会系の象徴のようなアッパーな最強コンビだが、一方で雑誌『広告批評』の表紙を度々飾るなどカルチャー寄りの活動も目立った。その上で、決してブレずにその場でもこんな会話でインタビューを締めるのだ。

木梨「イチローもいいよね、雰囲気が」

石橋「いやあ、すごい選手が現れたもんだ」

木梨「野球界はイチローがいるから、もういい。サッカー界はこれからスーパースターが出てくるんじゃないかな」

石橋「前園なんかはその予備軍だね」

木梨「あと、マリノスのゴールキーパーの川口(能活)。あの二人は、うちの事務所で押さえておこうかな、なんて(笑)」

(『広告批評』95年8・9月号インタビューより)

「胸をはれ! 全国の卓球部員たちよ」

 なお、この前年に公開された映画『メジャーリーグ2』で石橋は、東京ジャイアンツからきた助っ人外野手タカ・タナカ役でハリウッドデビューを飾っている。野球のできる日本人俳優を探していた監督から身長182cmの長身を気に入られ、撮影は渡米して1週間ずつ2回行い、撮ったのはどちらも1日だけ。あとの時間はずっと他の出演者と同じく野球のトレーニングをやっていたという。当時話題の野茂英雄やマック鈴木よりひと足早く大リーグデビューを飾った男。このクリーブランド・インディアンスを舞台にした映画出演により、アメリカの野球ファンやメジャーリーガーの間でも石橋の知名度は高く、現地でオールスター戦を観戦した際は出場選手から記念写真をねだられるほどだったという。

 そんな売れっ子タレントとして多忙な日々を送りながら、石橋は『生ダラ』企画のボクシングやゴーカートにハマり、プライベートで自ら車を購入すると早起きしてサーキット場へ。木梨も徹夜で飲んで朝5時からの早朝草野球を楽しんでから、ひと眠りして収録現場へ向かった。さすがに疲れてダルい。でも、不思議なもんで死ぬほど仕事が忙しいときほど、このダルさがハマっちゃう。24時間戦って、ときに負けても笑い飛ばす、90年代の青い狂熱がそこにはあった。

【次ページ】 「胸をはれ! 全国の卓球部員たちよ」

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