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佐々木朗希より大きい193cm! 幕張の摩天楼・河村説人(24歳)の意識を変えた“同じ境遇”の道産子ピッチャーとは?
text by
千葉ロッテマリーンズ取材班Chiba Lotte Marines
photograph byChiba Lotte Marines
posted2022/05/19 06:00
ゲレーロ、国吉、佐々木とともに「幕張の摩天楼」と期待を背負う193cmのロッテ河村説人(ときと/24歳)
転機は伊藤大海との再会「球がエグかった」
転機は大学3年生の時。愛媛県松山で行われた大学ジャパンの選考合宿に招集された。同じく招集されたメンバーには同じ北海道出身で同学年の伊藤大海投手(現・北海道日本ハムファイターズ)がいた。彼もまた駒澤大を1年で退学しており、1年遅れで苫小牧駒沢大学(現・北洋大学)に再入学していた。自分と似た境遇だったこと、さらには高3春の北海道大会でもベスト4をかけた試合で対戦して負けた経験があったことで、意識する存在になった。
初めての練習でのキャッチボールでいきなり驚かされた。キレのある伸びるボール。今まで経験したことがない感覚に衝撃を受けた。
「球がエグかった。伸びがやばい。これがプロに行く人のボールなのだろうと思った。そう思ったのは初めての事。このレベルがドラフトで指名される。今まで漠然としていたプロへの想いが1つの目安ができて、意識が変わりました」
宿舎の部屋も同室だった。必然と野球の話をした。いろいろな会話を交わすうちに気が付いたことがあった。
「すごく自分の感覚を大事にしているなあと思った。しっかりと自分の感覚を把握していて伝えられる選手。それから自分も感覚を大事にして投げるようにしようと思うようになった」
選考の結果、河村はジャパン入りを逃したが、その後のキャリアを語る上で大きなターニングポイントとなった出来事だった。
ドラフト4位でマリーンズへ
具体的な目標を胸に野球に取り組み、制球力を上げた河村は2020年ドラフト4位でマリーンズ入り。同期入団には、当時の大学ジャパン選考合宿で時間を共にした1位・鈴木昭汰投手(法政大)、3位・小川龍成内野手(國學院大)がいる。一方の伊藤はファイターズにドラフト1位で入団し、ルーキーイヤーからいきなり2桁勝利を達成する活躍を見せた。
河村も1年目から先発、中継ぎと20試合に登板。防御率3.46。7月7日のホークス戦(ZOZOマリンスタジアム)でプロ初勝利を挙げると、先発4連勝を果たした。
ただ、胸に刻まれているのは嬉しい出来事ではなく、苦い思い出だ。4点のリードの9回に登板し、1アウトもとれずに降板した4月24日のホークス戦(ZOZOマリンスタジアム)である。
「悔しかった。9回ということで色々なことを難しく考えすぎてしまった」と、今でもその時の反省を忘れない。