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プロ野球PRESSBACK NUMBER
ロッテ完全試合の6年前…恩師が語る12歳松川虎生“衝撃デビュー戦”「90kg近くあった体格以上に…」「上級生と比べても力の差は歴然」
posted2022/05/19 11:05
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Sueyoshi Kawabata
ロッテのドラフト1位・松川虎生捕手が活躍を続けている。プロ野球史上3人目となる「高卒新人捕手の開幕スタメン」を果たし、4月10日のオリックス戦では佐々木朗希投手とバッテリーを組み完全試合を達成。佐々木朗が先発した7試合は全てマスクを被り、ここまでの快投を支えている。そんなルーキー・松川の原点とは? 中学時代にプレーした大阪府貝塚市の「貝塚ヤング」を訪れると、そこには驚きの“怪物伝説”が眠っていた。(全2回の前編#1/後編#2へ)
快晴のゴールデンウイーク真っただ中。阪神高速4号湾岸線「貝塚出口」付近は、「二色(にしき)の浜」へ潮干狩りに向かう家族連れで大渋滞していた。ファミリーカーの間を縫うようにして逆方向へ進み、大阪湾にせり出した人工島へと橋を渡る。静まりかえった工場地帯を抜けていくと突如、元気な子どもたちの声と心地良い球音が聞こえてきた。
今年の「貝塚ヤング」の所属選手は36人。この日は2、3年生が試合で遠征していたため、1年生の男子と、3年生の女子選手がティーバッティングやノックなど練習に汗を流していた。右翼線は約90m。長方形をした土の「二色グラウンド」こそ松川虎生の原点だ。
中学時代の恩師は“ヤクルト川端慎吾の父”
「キャッチャー一本でやらせてください」
小学1年生から軟式野球を始め、5年生から所属した硬式の「泉佐野リトル」では投手兼内野手。6年生で球速は優に100kmを超え、ピッチャーとしても有望だった松川が「貝塚ヤング」に入るにあたり強くこだわったのがポジションだった。
「(捕手を)嫌がるもんはおっても、自分からしたいという子は少ないですよ。松川もちょっとは経験があったみたいですが、やらせてみたら抜群に上手かった。学年が上の捕手と比べても、力の差は歴然でしたね」
懐かしそうにそう振り返るのは川端末吉監督だ。ヤクルト・川端慎吾内野手と、その妹で女子野球・九州ハニーズの友紀内野手の父。兄妹を揃ってプロ野球選手に育てる一方で、16年前に監督に就任した「貝塚ヤング」からも、多くの教え子を強豪高校に送り出してきた。