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送球をグラウンドに叩きつけることも…“危なすぎる守備”アダム・ウォーカー30歳を巨人・原監督が使い続けるワケ《年俸3400万円の選手にかける“大化け”の期待》
 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2022/05/14 11:04

送球をグラウンドに叩きつけることも…“危なすぎる守備”アダム・ウォーカー30歳を巨人・原監督が使い続けるワケ《年俸3400万円の選手にかける“大化け”の期待》<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

打撃では結果を残しているウォーカーだが、守備では捕球でも送球でも危なっかしい場面が目立つ

推定年俸3400万円の選手に“大化け”を期待する背景

 巨人がなかなかいい外国人選手を獲得できずに苦労していたときに、どういう選手が欲しいのかという話を聞いた答えだった。ただ、振り返ってみると、まさにウォーカーのために用意したようなコメントにも聞こえてくる。

 2012年にミネソタ・ツインズにドラフト3巡目で指名されてプロ入り。ただその後は、独立リーグを挟んで4球団を渡り歩いたが、ついにメジャー昇格はできなかった。そうして19年からは独立リーグを主戦場にして20年と21年シーズンにはアメリカン・アソシエーション・リーグの本塁打王とMVPを獲得して、その活躍に注目した巨人が声をかけた。

 推定年俸は30万ドル(約3400万円)。年齢的にもまだ30歳でこれから本格化していく可能性も秘めている。何よりウォーカーにはこの場所しかない。日本で成功することへの強い意志があることが、原監督が大化けを期待する背景にあるのだ。

 実はもう一人のポランコにしてもまだ30歳とキャリアに幕を閉じるには早い年齢だが、度重なるケガでメジャー復帰の可能性はほぼ消えている。そういう意味では変なプライドを捨ててここが最後の場所、ここで成功するという覚悟で日本にやってきている。しかも巨人にはそういう覚悟の外国人選手のお手本的なゼラス・ウィーラー内野手がいる。ポランコもウィーラーの姿を見て、ベンチのムードメーカー的な存在となっているのも“買える”ポイントなのである。

原監督「いつか神様もほほ笑むと思うよ」

 チームの大黒柱である坂本勇人内野手と絶好調だった吉川尚輝内野手をケガで欠き、得点力が下がっている現状を考えれば、守備には目をつむっても、ウォーカーとポランコが打線に欠かせぬ存在であることは間違いない。5月27日の日本ハムとの交流戦から、ウォーカーは指名打者での起用も可能になる。今後2人の守備が劇的に向上する可能性は考えられないかもしれないが、少しでも改善されることがチームにとってプラスアルファにはなるだろう。

「人事を尽くして(天命を待つ)という形を見ているとね。いつか神様もほほ笑むと思うよ」

 亀井コーチと熱心に送球練習をするウォーカーの姿に、原監督はこう語っていたと東京スポーツは伝えている。

 諸刃の剣でもポランコとウォーカーを使い続ける。

 監督の覚悟は決まっているようだ。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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