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ドラマ生んだテイオー、あっさり負け鮮やかに勝ったウオッカ…GIでの“1番人気連敗記録”を調査して分かった「スターホースの存在感」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAFLO
posted2022/05/13 17:02
64年ぶりの牝馬ダービー制覇を成し遂げたウオッカ
メジロマックイーンとの天下分け目の決戦となった天皇賞・春で5着に敗れ、骨折・休養を経て、天皇賞・秋で復帰。1番人気に支持されるも、乱ペースに巻き込まれて7着と大敗。しかし、次走、5番人気となったジャパンカップで快勝。ジャパンカップはこの年から国際GIとなり、記念すべき最初の勝ち馬となった。当然のようにつづく有馬記念では1番人気になったが、メジロパーマーに逃げ切られて11着となり、1番人気の連敗記録を伸ばしてしまった。が、これもドラマの伏線で、1年ぶりの実戦となった翌93年の有馬記念を完勝し、奇跡の復活を果たす。
そして、春から秋のGIで1番人気が8連敗した90年。この年にウオッカやテイオー同様の浮き沈みを見せたのもまた、競馬史に残るスターホースだった。「白い怪物」オグリキャップである。
1番人気“連敗記録”を調査して分かった「ひとつの傾向」
ひとつの傾向が明らかになった。
GIで1番人気の連敗がつづいた年は、スターホースが勝ったり負けたりして、人々の心を大きく動かすのだ。
なぜ1番人気が負けつづけるのか――ということに関しては、こう言ってしまうと身も蓋もないが、馬券を買う私たちファンが、勝ち馬を見誤りつづけるからにほかならない。馬のせいではない。
年明けからGIで1番人気が7連敗中の今年も、スターホースが、派手な勝ち方と負け方で、私たちの気持ちを揺さぶるのか。ひと昔前と違い、A級馬ほど出走回数が少なくなっているので、今のところ、ウオッカやテイオー、オグリのような馬は現れていないが、候補の筆頭はエフフォーリアのような気がする。いや、今週のヴィクトリアマイルに出走するソダシあたりか。
07年も92年も90年も、リアルタイムでは、GIの1番人気が負けつづけていることが、さほど話題になっていなかったように記憶している。今年は年明けから負けつづけているから目立つのだろうか。いずれにしても、本命馬の走りに違った意味で注目する楽しみができたのは、悪くないことだと思う。
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