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今年すでに重賞4勝、GIは初勝利。
NHKマイル制覇は藤岡佑介の転機だ。
posted2018/05/07 11:50
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
確かな技術で地歩を固めてきた中堅騎手が、ついにビッグタイトルを勝ち取った。
3歳のマイル王を決める第23回NHKマイルカップ(5月6日、東京芝1600m、3歳GI)を、藤岡佑介が騎乗した6番人気のケイアイノーテック(牡、父ディープインパクト、栗東・平田修厩舎)が優勝。重賞初勝利をGI制覇で飾った。騎手デビュー15年目の藤岡にとっても初のGIタイトルとなった。
「けっして上手く乗ったわけではなかった。馬の能力だけで差し切れました」
藤岡はそう振り返ったが、腹を括った大胆な騎乗をしたからこそ、手にすることができた栄冠だった。
「思ったより行き脚がつかず、促しても(前に)行けませんでした」
前半4ハロンが46秒3、後半4ハロンが46秒5という平均ペース。前の馬も後ろの馬も最後に脚を使える流れだ。となると騎手心理としては、少しでも前につけたくなるところだが、藤岡は後方2番手でじっとする戦術をとった。
ディープらしい瞬発力を引き出した。
直線入口でもまだ後ろから2頭目。先頭から7、8馬身離されている。
「それでも、馬のアクションがよかったので、信じて追いました」
藤岡のステッキに応えたケイアイノーテックは、外から猛然と脚を伸ばした。
ラスト200m地点で抜け出したミルコ・デムーロのギベオン、それと叩き合うミスターメロディ、追いすがるレッドヴェイロンといった馬たちを、メンバー最速のラスト3ハロン33秒7の末脚で差し切った。
これぞディープ産駒の瞬発力。それを引き出したのは、今回が実戦初騎乗となった藤岡だった。