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“久保建英は上手い”一方で…逃した決定機と残留への勝ち点 数日前に撮った“CLで強すぎるレアル”とのコントラスト〈撮影者の視点〉
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/05/11 11:05
グラナダ戦の久保建英。試合最初の決定機を含めて得点の匂いは漂っていたのだが
その直後、相手CKからマジョルカは先制を許してしまいました。前半6分、早い時間帯の失点に、またかというような嫌な空気がスタジアムに流れました。
一時は同点となるゴールにも絡んでいた
ビハインドのマジョルカが攻勢に出ますが、なかなか足元から足元へパスを繋ぐことはできず、空中にボールがある時間が長く続きます。そんな中、久保は数少ないチャンスを生かそうと奮闘。ムリキへのスルーパスでビッグチャンスを演出しましたが、ムリキはゴールを決め切れませんでした。
プレーが切れた際には、アギーレが久保を呼び、指示を出す姿を撮影できました。
一進一退の攻防が続く28分、サイドに流れた久保の元に入ったパスを久保はダイレクトで折り返すと、ムリキが落とし、サルバ・セビージャがダイレクトシュート、見事な軌道でゴールネットを揺らし、同点に追いつきました。
相手中盤のギャップに入り込み、ボールを引き出すと、反転してドリブルを仕掛けるなど、久保らしい“上手いな”と思わせるプレーも見られました。ただ好調時の“守備者の出足を数センチ単位で予測しているかのような姿”は見られず、トラップの置きどころや、ドリブルのワンタッチ目でかわし切れず、相手に身体を入れられて防がれてしまうようなシーンも多く感じました。
また、前半終了前には、イ・ガンインがアップを始め、後半早い段階での選手交代が予測されました。後半に入った直後、46分に相手サイドバック、エスクデロにゴールを許してしまいました。試合の入りでマークが緩くなってしまうという、やってはいけないミスをマジョルカはしてしまいました。
久保の得意プレーのはずがボールを奪われた
さらに55分、グラナダ10番のアントニオ・プエルタに追加点を奪われ、1-3に。この場面では、中盤で久保が振り向きながらボールを受け、そのままマークも剥がそうとしたところで、ボールを掻っ攫われてしまい、相手カウンターのきっかけになりました。この際に久保はスパイクが脱げており、相手のファールを主張しましたが聞き入れられず、スパイクを地面に叩きつけ不満をぶつけました。
相手を引きつけてかわすという、久保の得意なプレーの一つですが、前述した通り――どこか感覚をフィットし切れていなかったか。また、中盤でのロストからのカウンターとはいえ、マジョルカ最終ラインもあまりにもあっさりとDFラインの裏を取られてしまっており、チーム全体として身体の重さを感じるシーンでした。
両チームとも同条件とはいえ、久々の暑さの中での影響もあったのでしょうか。また、数ポイントの差でしかない残留争いのライバルながら、順位上、上位のマジョルカが受けに入ってしまい、下位グラナダのチャレンジャーとしての勢いに飲まれてしまったのか……。