初優勝を達成した直後に聞いたときに、勝因は初日から調子が良かったこと、予選でポールポジションを取れたこと、スタートが良かったこと、だと語っていたが、あれから数日が経って、あらためてどう？　と聞くと、彼はより具体的に答えてくれた。

「これまでは予選5位とか6位とかというのが多かった。そういう状況のときは、フリー、予選を終えたときに、自分より速いのが4、5人いて、その連中と戦うためには、序盤にちょっとがんばってついていこう、後半はもっとがんばってついていこうと思ったりする。それが今回は初日からいい走りが出来ていたし、予選でPPを獲れた。こういう状況のときは、もし、決勝になって速いのが出てきても、たぶん焦らないし、そのときそのときの対応ができると思う。

　特にヘレスは、自分にとっては力を出しやすいサーキットだったので、スタートがうまくいって、それからもいいペースで走ることができた。自分のペースがちょっと落ちたときに後ろにいる二人が抜いてくるかなと思ったときもあるけど、抜いてこない。もし、抜いてこようとしたら、さらにペースを上げていく余力はあったし、そういう意味で今回のレースは完全に自分の中ではコントロールできたレースでしたね」

ホールショットを決める小椋。この語トップを譲ることなく1位でゴールした

これからすごく強いライダーになる

　Moto3時代を含め、これが12回目の表彰台。初優勝までの道のりがわりと長いライダーだが、「僕はすごく慎重ですよ」という言葉通り、小椋は着実に前進するタイプであり、決して後戻りしない。それだけに、一度優勝を経験したら、すごく強いライダーになると僕は思っている。

　初優勝したスペインGPは、第5戦ポルトガルGPからの2連戦だったが、ポルトガルGPでは、予選7番手から素晴らしい追い上げを見せてトップグループに追いついた。しかし、小雨が降り続き、その影響で多重クラッシュが発生して赤旗中断。再スタートとなるが、現在のルールでは、赤旗提示から5分以内に自走でピットに戻れないとリタイアとなる。転倒した小椋はマシンを起こしピットに戻るが8分ほどが経過していてリタイアとなった。もし、あのまま走っていれば優勝できたのではないか、というペースだったし、これまででもっとも優勝が近いレースだった。

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