瞬間湯沸かし器と言われた感情の起伏の激しい人

　甲子園球場でのデーゲームに惨敗して帰京してきた新横浜駅から、ハイヤーに同乗させてもらって取材したことがあった。

「何であんなとこで真っ直ぐ放らせるんだよ！」

　車に乗るなり藤田さんがこう吐き捨てて、それから延々とその阪神戦でマスクをかぶっていた村田真一捕手への不満を吐き出したのである。

藤田元司監督　©Sports Graphic Number

　瞬間湯沸かし器と言われた感情の起伏の激しい人。おそらく新幹線の中でも怒りが沸々と湧き上がっていたが、さすがにそこでは爆発させられずに、ハイヤーに乗った途端に憤怒を誰かに言わずにいられなかったのだろう。

エラーをした廣岡だけが悪いのではない

　だが、ひとしきり毒を吐き出すと、ケロッとした表情に戻って、こうひとこと言ったのである。

「でも、使ったオレが悪い。きちっと教えていないコーチが悪い。そのコーチを使っているのもオレだから、オレが悪いってことだな」

　エラーをした廣岡だけが悪いのではない。

　廣岡を使った監督が悪いし、去年から守備面で何の進化も見えないままに放置（はしていないと思うが結果には結びついていない）しているように見えるコーチが悪い。そしてそのコーチを使っている監督が悪いということだ。

　だからこそ巨人は廣岡だけではなくチームとして、若手内野手の基本の習得と守備力の向上を計っていかなければならないのだ。

　シーズン中でも基本からしっかり積み上げていけば守備は上手くなれる。そうしてチームとして少しずつでも地道に主力と控えの“守備格差”を埋めていくことが、巨人の1つの未来図を作ることになるはずである。

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