- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
“2浪で早稲田合格→ドラ1指名”メジャーも経験した小宮山悟が浪人生に贈るメッセージ「1年や2年のブランクなんてどうってことない」
text by
澤田将太Shota Sawada
photograph byAsami Enomoto
posted2022/05/05 11:03
早稲田大学野球部の小宮山悟監督。現役時代は多彩な変化球を駆使する球界屈指の技巧派投手として活躍した
一方で、プロに行くだけのポテンシャルがあるにもかかわらず、大学で野球を辞めてしまう学生もいる。しかし小宮山は、あえて「プロに行け」と声はかけないという。
「いくら監督といっても、彼らの人生を背負うことはできませんからね。プロで通用せず、『監督が行けって言ったのに……』となってもイヤですし(笑)。結局は本人の意思がすべて。もしかしたら野球以外にもやりたいことがあるかもしれない。大学生活の中で、それが見つかるかもしれない。なんにせよしっかりと考え抜いて、自分の答えを見つけてほしい。
野村徹さんという早稲田の大監督から、僕が就任する際に『お前はただのOBだ。ただ後輩の手伝いをしているだけ、という意識を持て』と言われているので、学生たちには練習メニューも将来のことも、できるかぎり自分で考えさせています。だから全然怖い監督じゃないと思いますよ。下手をしたら、友達くらいに思っているんじゃないか(笑)」
“先輩”からのメッセージ「浪人生活を満喫してほしい」
ストイックな野球選手としての生活と、のんべんだらりとした浪人生活のどちらも経験してきた小宮山だからこそ、自ら考えて行動に移すことができる若者と、それができずに燻っている若者、双方の気持ちが理解できるのではないか――。そんな期待を込めて、インタビューの結びに「浪人生へのメッセージ」を頼んでみた。
「予備校に通って必死にやれている人はそれでいいと思いますよ。一方で“宅浪”というか、ひとりで勉強している人は、目的を見失わないように気をつけてほしい。この記事が出るGWごろが一番危険な時期かな(笑)。僕は堕落した生活を送っていたけど、目標だけは明確に見えていたから充実はしていました。
あと、自分の寿命を考えてほしいですね。仮に80歳まで生きるとしたら、1年や2年のブランクなんて本当にどうってことない。むしろ僕なんて、浪人したことがプラスアルファになっている。『2浪したのに大学で監督をやっているなんて』って言われますから。絶対に現役合格の方がすごいのにね(笑)。
中学、高校を卒業して、初めて縛りがなくなって自分の意思で動けるわけでしょう? 茨の道を進むもよし、自由を謳歌するもよし。存分に浪人生活を満喫してほしいですね」<前編から続く>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。