浪人中に巨人の1次テストに合格、新聞沙汰に

　この期間中、小宮山はちょっとした“事件”も起こしている。

「そういえば、浪人中に冷やかしで巨人の入団テストを受けたんですよ。1次テストの時点で500人中10人くらいしか残れないんですけど、なぜか受かっちゃって。『謎の浪人生が巨人のテストに合格！』って新聞沙汰ですよ。ただ、目標はプロじゃなくて早稲田だったから、たしか2次テストはサボっちゃったんじゃないかな。でもなんで受かったんだろう？　やっぱり、けっこうすごかったのかな（笑）」

　巨人すら眼中にないほど気持ちが早稲田に向かっていたにも関わらず、相変わらず勉強はサボりがちな日々を送っていた小宮山。当然のように浪人1年目の入試に失敗するのだが、焦りはそれほど感じていなかったという。

©Asami Enomoto

「親に『真剣さが足りなかった。もう一回だけチャンスをくれ！』と頼み込んで2浪目に入るのですが、1カ月もすると飽きちゃうんですよ。ほら、2年目って浪人のベテランでしょ。サボっていたとはいえ、それなりに貯金があるから1年目の新人には負けないわけです。そうすると、その連中を見下してまたダラダラとした毎日を送り始める。

　で、秋くらいですね。夏を必死に乗り越えた新人たちにあっさり抜かれちゃう。入試間近の11月、模試の判定が親に見せられないほど酷くて、そこから猛勉強ですよ（笑）。人生で一番焦った瞬間ですね。なんとか合格して、その足で野球部に向かいました。さすがに浮かれてなんかいられませんでしたよ。だって練習会の同期たちが、もう3年生になっていましたから」＜後編へ続く＞