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「代ゼミで出席カードを切ってからサボるわけです」小宮山悟がいま明かす浪人時代の“街ブラ”秘話「『ちい散歩』の走りですよ(笑)」 

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澤田将太

澤田将太Shota Sawada

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photograph byAsami Enomoto

posted2022/05/05 11:02

「代ゼミで出席カードを切ってからサボるわけです」小宮山悟がいま明かす浪人時代の“街ブラ”秘話「『ちい散歩』の走りですよ(笑)」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

早稲田大学野球部の小宮山悟監督は、2年間の浪人生活を経て一般入試で早大に合格。その後、ドラフト1位でプロ入りを果たした

予備校をサボって“街ブラ”「毎日が楽しかった」

 勉強の大切さを知った小宮山は、両親に頭を下げて浪人生活に突入する。今度こそ本気になるのかと思われたが、それでも楽観的な気質は変わらなかった。

「不合格後は、周りに代々木ゼミナールで浪人生になるやつがいたので『じゃあ俺も!』と浪人を決めました。なにせ『じゃあ俺も!』ですから、すぐにサボりだします。当時の代ゼミは授業の前に切る出席カードのデータが親に送られるシステムだったんです。親を安心させるために、地元の柏から代々木まで通ってカードを切って、そこからサボるわけですね。

 主にやっていたのはいろんな街の散策です。いや~、歩きましたね。『ちい散歩』の走りですよ(笑)。いつもなんとなく降りる街を決めて、なんとなく歩いて帰ってくる。特に歩いたのは赤坂かなぁ。本当、現実逃避以外の何物でもない。恐ろしい浪人生だ(笑)」

 早稲田の練習会でニアミスした吉井理人など、同年代がプロとしてキャリアを歩み始めたこの年。小宮山はサボりがちな浪人生として日々を過ごしていた。選手として致命的なブランクにもなりかねないこの期間に、無所属の小宮山はなぜ“野球勘”を鈍らせずにいられたのだろうか。当時の練習量について尋ねると、意外な答えが返ってきた。

「練習なんてするわけないじゃない(笑)。まぁ、友達と草野球をやったりはしていましたけどね。僕の目標は、『早稲田の野球部で活躍する』じゃなくて、『早稲田で野球をする』だったから。そういう意味ではブレてなかった(笑)。周りからすれば、ただダラダラしているように見えたかもしれないけど、目標だけはしっかり見えていたので意外と充実はしていました。毎日が楽しかったですよ」

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