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「本当はな、大空スバル式羊殺しはやりたくなかった」“イロモノ扱い”されたグレート-O-カーンが“愚民の掌返し”を確信していたワケ 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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posted2022/04/30 17:03

「本当はな、大空スバル式羊殺しはやりたくなかった」“イロモノ扱い”されたグレート-O-カーンが“愚民の掌返し”を確信していたワケ<Number Web> photograph by Masashi Hara

「リングには外のものをあまり持ち込みたくない」と語るグレート-O-カーン。女児を救出した一件も「プロレスとは関係ない」と割り切っている

「余の大空スバル式羊殺し、あれはオリジナルで、由来もしっかりしているだろう? タイチの聖帝十字陵や天翔十字鳳(北斗の拳)、他にもザック・セイバーJr.はバンド名からだし、そういえばVトリガー(ストリートファイターV)とかいうのもあったそうじゃないか。他にも数え切れないほど、プロレス技には“元ネタ”がある。

 だが、余はちゃんと使用前に許可も貰っておるのだ。こういう細やかな気配りができるのは、余だけ、じゃろうな。『ホロぐら』でなにやら角巻わため姫(羊をモチーフにしたバーチャルYouTuber)が『ギブギブギブ』と言っているのを見てからの余の行動はまさに疾風怒濤よ。実際に試合でギブアップをとれるように改良を重ねてオリジナル技に昇華し、許可も取り、本人へのリスペクトを込めてそのままの名前をつけたのじゃ」

 そしてオーカーンは、衝撃的な告白をした。

「でも本当はな、大空スバル式羊殺しはやりたくなかった」

 どういうことなのだろうか。

「よく見てみろ。余の試合でオタク的な要素があるのはあれだけだろう? 余には様々な一面があるのだ。リングの余、東スポの余、新日ちゃんぴおん。の余、Twitterの余……。その中で基盤になっているのが“リングの余”であり、リングには外のものをあまり持ち込みたくはないのじゃ。ではなぜやっているのか、というと、あれは真にオリジナルな技だからだ。もちろん大空スバル姫にもしっかりと筋を通している。それなのに、VTuberが由来というだけで『ふざけている』と言われる。一番しっかりした由来なのにも関わらず、だ!」

 振り上げられた拳が机を叩くかと思われたが、オーカーンはその手をゆっくりと元の位置に戻すと、静かにこう続けた。

「余は、そういうところもひっくり返してやりたい。アニメ好きとしてプロレス界を牛耳り、端っこに追いやられたやつ、不遇や冷遇を味わったやつでも、プロレス界の支配者になれるのだ、と。そういう思いでやっておるのだよ」

イロモノ扱いされても「続けるしかないんだよ」

 その「ひっくり返してやる」が、“あの一件”で現実のものとなった。武蔵小杉駅で酔った男性から女児を救ったことが地上波のニュースも含めて広く報じられると、巷ではオーカーンを称賛する声が続出。普段プロレスを見ない人たち、グレート-O-カーンという存在を知らなかった人たちはもちろん、それまでオーカーンのことをイロモノ扱いしてきたようなファンもこぞって掌を返したのだ。

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