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Xゲームズ、日本人第1号メダリストは“堀米雄斗が勝てなかった男”「一歩先をいくライバルのような存在だった」〈現地観戦記〉
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAsami Enomoto
posted2022/04/30 17:01
4月22~24日に日本で初開催されたアクションスポーツの祭典「X Games」。堀米雄斗、西村碧莉らトップライダーが千葉・ZOZOマリンスタジアムに集結し、平野歩夢、那須川天心らも観戦に訪れた
初開催は“大成功”だった?「基本、放送ですから」
実施種目の兼ね合いもあってかパークのサイズは若干小ぶりだった。また設営が間に合わず、選手たちは事前にコースで練習する時間がほとんど取れなかった。チケットの券種によっては、座席からコースが遠すぎたり、障害物に遮られたりしていて、ほぼ見られない種目もあった。雨などの悪天候への対策、観客への事前告知なども十分だったか。課題を挙げればキリがない。
これまでにレッドブルエアレースなどにも携わってきた河野真二大会実行委員長は「こういう大きな大会を日本でやる以上、この業界に対して責任があると思っている。1年で終わるなら、元々やるつもりはなかった。基本的には複数年を前提に話をしています。より日本の文化にアクションスポーツが浸透すればなと思っています」と継続開催に意欲を示した。
「Xゲームズの考え方は基本、放送ですからね。放送の考え方に基づいている。我々としてもそういう考えの下でやっている」とは言うものの、来場者の満足度を高めるような施策を日本側で練っていく必要がありそうだ。
技が分からなくても「表情」「バックボーン」を楽しんで
そして見る側はどうだろう。これらのスポーツやイベントをどう見守っていけばいいのだろうか。
地元千葉在住で、BMXフラットランドで銅メダルを獲得した佐々木元の言葉が、今回聞いた中で一番ストンと腹に落ちた。
「アクションスポーツってみんな遊びから入って、文化とともに、気づいたら今スポーツに変わってきている瞬間だと思うんです。一人一人の選手が小さな公園から始めて、自宅に練習場を持つようになって、こういう大きなステージに立つようになって、いろんな思いが詰まっている。
同じ技を滑走する中でも、『こういう表情でこう魅せて』と楽しんでいる選手もいれば、『人生変えるぞ!』とシリアスに滑っている人もいる。初めて見る方は技一つ一つはわからないと思うんですけど、選手の表情とか、どんなバックボーンを持っているのか、どんな気持ちで走っているのかを想像しながら、好きな選手を見つけて応援してもらえればなと思います」
それって決して特別なことじゃなさそうだ。
取材が終わって、マリンスタジアムから海浜幕張駅へと歩いて帰る途中に大きな人だかりができていた。かつての有名スポット、幕張のワールドビジネスガーデンで、NIKEによるストリートイベントが開催されていた。雨をものともせずに楽しんで滑るスケーターたち(もちろん許可は取った上で)。もしXゲームズが何度も日本で開催されていくなら、少しずつこんな風景がいろんな街に広がっていくのかもしれない。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。