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Xゲームズ、日本人第1号メダリストは“堀米雄斗が勝てなかった男”「一歩先をいくライバルのような存在だった」〈現地観戦記〉
posted2022/04/30 17:01
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Asami Enomoto
海浜幕張駅から京成バスに乗ってZOZOマリンスタジアムに向かう。運転席の後ろには急ごしらえのこんな貼り紙があった。
「祝 佐々木朗希選手おめでとうございます!」
完全試合の余韻がまだぷんぷん漂っている。そういえばさっき駅前の広場では別の貼り紙を見かけた。
「スケートボード禁止」
4月下旬のこの日、向かっていたのは“禁止”の方である。
『Xゲームズ』はアメリカの大手スポーツ専門局ESPNが主催するアクションスポーツの祭典。世界中で放送され、多くのスター選手や名シーンを生み出してきた。1995年に始まったこの大会はアメリカ国内だけでなくヨーロッパや中国、オーストラリアでも開催されてきたが、ついに日本に上陸した。このタイミングで実現したのは昨年の東京五輪スケートボードでの日本勢の大活躍があったからこそだろう。五輪に端を発したアクションスポーツ全体の大きなうねりと言ってもいい。
東京五輪で男子ストリート金メダルを獲得した堀米雄斗にとっても「小さい頃からテレビで見ていた夢のコンテスト」。2019年に優勝し、今回は母国開催。そして、東京五輪以来のコンテスト出場となれば注目度も俄然高まる。
五輪でスケートボードや堀米に興味を持った人たちには、これが本格的なコンテストを観戦する初めての機会になる。果たして両者の“出会い”はどんな形で進むのだろう。
〈大会1日目〉金髪がトレードマークの西村碧莉が登場
大会初日は女子のスケートボード、ストリートとパークの予選から幕を開けた。
ストリートでは東京五輪金メダルの西矢椛がケガで欠場したが、織田夢海がトップ通過し、五輪銅メダルの中山楓奈が2位と安定した力を発揮。五輪銀メダリストのライッサ・レアウ(ブラジル)も3位につけた。3人の年齢は15、16、14歳。五輪にスケートボードを採用したIOC(国際オリンピック委員会)の欲する“若さ”がここにも溢れていた。
Xゲームズ優勝3回を誇る女子の第一人者、西村碧莉も五輪以来の実戦だった。昨夏の五輪では直前の会場練習で怪我を負い、不完全燃焼に終わった。昨年9月には膝の手術を受け、復帰して2カ月。「回復具合はまだ7割くらい。今自分ができることをやりきろうと思う」と語っていた。まだ思うような滑りはできていないはずだが、金色に輝く髪をなびかせ予選通過ギリギリの8位で最終日の決勝に駒を進めた。
スケートボード以外にもBMXパーク予選などが行われたが、初日のハイライトは五輪種目以外のところにあった。