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「妹がいたから、スケートを続けられた」 引退発表の高木菜那(29)が明かした“美帆への感謝”…第二の人生には「ワクワク」

posted2022/05/01 06:01

 
「妹がいたから、スケートを続けられた」 引退発表の高木菜那(29)が明かした“美帆への感謝”…第二の人生には「ワクワク」<Number Web> photograph by KYODO

五輪2大会で獲得した金・銀メダル計3個を前に思いを語った高木菜那。会見後は報道陣に自らクッキーを配った

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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 '18年平昌五輪で日本女子として夏冬通じて初の同一大会2冠を達成し、今年2月の北京五輪でも銀メダルを獲得したスピードスケートの高木菜那が、4月5日に現役引退を発表した。

 29歳。身長155cmの小柄な体を全身くまなく稼働させる大きな滑りで長身の外国選手に対抗。小さなカーブを完璧に回りきる技術の持ち主でもあり、平昌五輪でのマススタート金メダルにつなげた。チームパシュートでは五輪2大会で金・銀メダルを獲得したほか、妹の美帆、佐藤綾乃と組んで出た'20年世界距離別選手権で2分50秒76の世界記録を樹立した。

 引退の理由を2つ挙げ、「1つ目は第二の人生を考えた時にすごくワクワクしたこと」と説明。「2つ目は、今までは自分を信じることができなかったが、今季はやっと自分を信じることができた」と言い、昨年12月の北京五輪代表選考会で小平奈緒と競って五輪切符の最後の1枚を勝ち取った1500mを「会心のレースだった」とした。

「妹がいたからこそ」

 また、'10年バンクーバー五輪に中学3年生で出場した美帆を引き合いに出されることを悩んだ時期が長かったと振り返りつつ、「今季は高木美帆の姉ではなく、高木菜那として戦えた」と胸を張った。「妹がいたからこそ、ここまでスケートを続けることができたし、世界で戦うことができた。妹が妹で良かった」としみじみ言う。

 常に速くなるためのアンテナを張り巡らせ、必要だと思ったことには自ら積極的にアプローチして取り入れてきた。平昌五輪後は陸上ハンマー投げの室伏広治氏に教えを請い、上半身と下半身の連動など体を効率よく動かすことを学んだ。

 陸上トレーニングの能力が高く、体重で割ったパワーはナショナルチーム随一。自転車や登坂走でも一番だった。ヨハン・デビットHCには「こんなに体重が軽いのにこんなに1500mを滑れる選手はいないぞ」と言われていた。スケート人生の集大成と位置づけて臨んだ北京五輪の1500mで8位入賞。初の五輪だった'14年ソチ大会で32位だった種目で成長を見せた。

 今後については「次世代の子どもたちにスポーツの楽しさを伝えたい」と意欲的に言った。冬季五輪で確かな実績を残したスケーターは、輝くような笑顔で第二の人生を見つめた。

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