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《転倒・菜那と涙の姉妹愛も》高木美帆「足元は見てますが、狙うのは世界の…」 悲願の個人金とライバルも絶賛の“美しいスケート”
posted2022/02/18 17:03
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
<名言1>
15歳だったバンクーバーのときは選考会に勝ちに行こうと思って立ち向かっていったわけではなかった。でも今回は違った。狙うメンタルが備わっていました。
(高木美帆/Number945号 2018年2月1日発売)
◇解説◇
バンクーバー五輪代表を決める選考レースで、当時中学3年生だった高木は、1000m、1500m、3000m、チームパシュート(団体追い抜き)で代表権を獲得。“スーパー中学生”は大きな衝撃を与え、計り知れない将来性は大きな期待を抱かせた。
だが、日体大に入学した2013年に成績は急降下。12月のソチ五輪代表選考レースも低調な結果に終わり、全種目で代表落ちの屈辱を味わった。
「思い返せば大学1年の時はいろいろなことでいっぱいいっぱい。北海道から住まいが変わり、大学に入って部活の環境も変わった。監督も教え方も違う。いろいろなことがそれまでと違う中での1年目で、五輪シーズンだったということもあって、変わるのが怖かったのだと思います」
高木は当時についてこのように振り返っていた。
その4年後、2017年12月の平昌五輪代表選考レースで、すでに内定を得ていた1500mで1分54秒82の国内記録をマークし、3000mでも勝利。技術、体力、そしてメンタル面でも成長の跡を見せた。この成長が、平昌五輪1500mでの銀メダルにつながったのだ。
中学生の頃に語っていたパシュートへの印象
<名言2>
でもまぁ、なるようになるのかなって(笑)。
(高木美帆/Number746号 2010年1月21日発売)
◇解説◇
高木はバンクーバー五輪ではチームパシュートのメンバーにも選ばれた。
「パシュートって転んだりしたら、それこそ命取りだし。一緒に滑る人もすごく速いじゃないですか。だから、最初は緊張するだろうし、うまくできるのかなって思ったりもする」
初々しいコメントを残した高木だったが、本戦では控えに回った。
大舞台の空気を味わった経験は、8年後の平昌五輪に生きることになる。姉の菜那、佐藤綾乃、菊池彩花と「世界一美しい隊列」を磨き上げ、オリンピックレコードとなる2分53秒89で金メダルを獲得したのだ。
日本史上初となる「姉妹金メダリスト」となった高木姉妹は、その後も切磋琢磨し合って世界の舞台を転戦。今回の北京五輪も、ともに出場権を勝ち取ってチームパシュート連覇へと臨んだ。