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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「FAでは獲らないと決めていた」「いま一番だらしないのは…」巨人・原辰徳監が語る、若手投手が次々にブレークできたワケ《独占取材》
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2022/04/23 17:02
ドラフト1位ルーキー・大勢(左)をクローザーに起用した巨人・原監督。山崎や堀田など若手投手が次々に台頭し、首位を快走している
「大勢、堀田、山崎……そうですね。そういうことを含めて、非常にうまくいっている。その理由の一つとして言えるのは、桑田(真澄投手チーフ)コーチがよく話をしていますよ。投手一人、一人としっかりとコミュニケーションをとって、我々首脳陣の考え方をしっかり伝えて理解させて、彼らの考えも聞いてね。桑田コーチの凄さというのは、いつも穏やかであるということだと思うんです。僕に何かを言うときも、穏やか〜に『お願いがあるんですけど……』という感じでね(笑)。そこに彼の人心掌握術があると思いますね。相手に話を聞かせて理解させる力がある」
大勢は「生まれたてホヤホヤで誕生したばかり」
――大勢をクローザーに抜擢したときも、しっかり本人と起用法も含めて桑田コーチが話をしている……。
「大勢に3連投はさせないということですよね。もちろん野手サイドやファン目線ということでいくなら、若いんだから3連投も、4連投もいけるだろうと考える人もいると思います。でもやはり彼は生まれたてホヤホヤで誕生したばかり。巨人に来て大きく羽ばたいているように見えるけど、まだ産毛を纏っているような若鳥なんですよ。そこは少し冷静になっておく必要がある。
だから連投したらノースローで調整して、次に備えるリフレッシュ期間を作っているわけです。そこは彼をクローザーで使っていこうと決めたときに、桑田コーチと確認したことですね。ただ、実は去年も(チアゴ・)ビエイラ(投手)や(ルビー・)デラロサ(投手)も基本的には3連投はさせていない。今年は大勢にクローザーを任せて、スタートから接戦で9回を迎える機会が多かった。そこで(3連投はさせないという起用法が)クローズアップされたということですね。
「いま一番だらしないのは……」
これは山崎や堀田も同じです。堀田が先発して、次の週にはローテーションの堀田のところで山崎を投げさせる、と。そうすることで2人の登板間隔が、中10日以上空く事になる。彼らもまたある意味、出来立てホヤホヤだから。桑田コーチはそう思っているかもしれないですね」
――戸郷翔征投手やC.C.メルセデス投手、さらには新外国人のマット・シューメイカー投手もローテーションに加わって、先発陣の駒はかなり豊富になっています。
「今のところだけどね(笑)。よくぞ変わった、ピッチャー、チームがと思いますよ。いま一番だらしないのは(菅野)智之だから。智之は大丈夫かな、(点差を)守れるかなという感じだからね。投球内容も球速にしたって、精度にしたってそうでしょう。だからそういう若い投手がどんどん実績を上げてきて、そこで彼がローテーションを外れるようになったら、ジャイアンツは本当の意味で新しいチームがスタートすると思うんですよ。もちろん智之だって『まだまだ、俺がエースだ!』という意地はあるでしょうしね」
――そのせめぎ合いが世代交代のエネルギーになっていく訳ですからね。