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20歳佐々木朗希のパーフェクトを止めるのは誰か? リベンジ誓うオリックス戦士3人の証言「去年とは別人」「大谷君もすごかったですけど…」
posted2022/04/23 11:02
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Sankei Shimbun
光あるところには影がある。昨年、25年ぶりのリーグ優勝を果たし、ようやく陽のあたる場所に躍り出たオリックスが、今季の開幕早々、佐々木朗希という眩い光に飲み込まれた。
4月10日のロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)で、20歳の佐々木に、プロ野球界で実に28年ぶりとなる完全試合を達成された。1試合19奪三振のプロ野球タイ記録と、13者連続奪三振の新記録も添えられた。
オリックスは開幕から打撃不振が続いていたところに、4月7日から立て続けに選手の新型コロナウイルス感染が判明。10日には、前日に本塁打を放つなど好調だった佐野皓大、太田椋の陽性が判明し、計7人の選手が離脱した。そこへ、おそらく過去最高の状態だったであろう佐々木朗希が立ちはだかった。
と、なんだか悲劇的な書き出しをしてしまったが、後日オリックスの選手に話を聞くと、悲劇や不運とは程遠い、清々しさのようなものを感じた。言い訳は一切なしに、うつむくこともなく、素直に佐々木を讃える言葉が並ぶ。稀代の好投手に挑み、歴史的なピッチングを目の当たりにした高揚感も漂った。
吉田正尚「素晴らしいバッテリーでしたね」
オリックスは11日にも新たな感染が判明したため、12日からの楽天3連戦が中止となった。
話を聞いたのは活動再開後。完全試合から1週間近くも経って、またあの時のことを蒸し返すのは非常に申し訳なかったが、吉田正尚は快く応じてくれた。
「もう本当に素晴らしいピッチングでしたし、素直におめでとうございます、と。二十何年ぶりですもんね、完全試合は。運もないとダメなんでしょうけど、もう圧倒的に実力で取った完全試合だったと思います。三振は19個で、正直圧倒されましたし。僕自身もなんとか、なんとかしようとは思っていたんですけども、全部その上をいかれて、三振3つでしたので、もう完全に、相手のほうが上だったと思います」
潔い。数々の好投手を攻略してきたが、あの日の佐々木は、吉田が出会った中で最高の相手だった。
「エース級と対決するのが僕はいつもすごく楽しみで。相性もね、エース級を結構打っている自負はあったんですけど、その中でも、ずば抜けていたというか、本当にノーチャンスというか、厳しかったですね。コントロールがいいし。
佐々木君というか、バッテリーがどんどん乗っていった。キャッチャー(松川虎生)も素晴らしい。18歳で。ある意味、怖さを知らないのがいいのか、どんどん攻めていけますし、でも引くところは引いたり、本当にルーキーとは思えない。2人とも若いですけども、素晴らしいバッテリーでしたね」