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渋野日向子「自分のゴルフをやり切った」優勝逃したのになぜ笑顔? 現地レポーターが感じる確かな成長「新人賞争いも見逃せない」
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byKYODO
posted2022/04/18 17:01
米女子ツアー・ロッテ選手権で優勝争いを繰り広げた渋野日向子。惜しくも2打差の2位に終わったが「やり切った」と笑顔を見せた
——勝敗を分けたポイントは?
片平 本当にどちらが勝ってもおかしくないほど2人とも良いゴルフをしていました。いわゆる明暗を分けたホールやプレーはなかったぐらい、それぞれがいいプレーをできていたと思います。……あえて言うなら、最終ホールの18番パー5でしょうか。
キム選手が17番でボギー叩いたことで、追いかける渋野選手との差は1打に。そこで渋野選手は次の18番パー5のティーショットでドライバーを振り抜き、残り221ヤードと2オンできる距離におきました。
一方のティーショットを右のラフに入れたキム選手は、2打目で出して、勝負は3打目。つま先下がり、尾根ごえのアプローチ、しかも風が右から思いっきり吹いてるというものすごくタフな条件でした。しかし、キム選手はウェッジでピンそばにピタリと寄せて、バーディパットを決めてきた。
——キム選手が実力で勝ち取った、と。
片平 どんなに風が吹いても、どんなにプレッシャーがかかっても、常に同じペース、ルーティン。スイングのテンポも変わりませんでした。自身のスポンサーの大会とあってプレッシャーも大きかったと思いますが、しっかりと勝ち切ったことには精神面の強さを感じました。
渋野選手は、2打目でグリーン手前のバンカーに捕まり、バンカーショットをグリーンに乗せて2パットのパー。たらればですが、2打目がグリーンをとらえていたら、プレーオフの可能性もあったかもしれませんね。ただ、優勝が懸かったシーンでキム選手が見せた見事なプレーに渋野選手は拍手して、親指で「グー」と讃えていました。優勝争いの場面でも彼女のキャラクターにほっこりさせられました。
優勝する可能性は高い?
——渋野選手は「2位」という結果をどのように受け止めていましたか?
片平 「優勝には届かなくて残念でしたけど、自分のゴルフをやりきった」と。まさに、その言葉どおりだと思います。昨年の最終予選会を20位で突破した渋野選手のプライオリティリスト(出場優先順位)は「153番目」なので、こうやってツアーの前半戦で結果を出すことはすごく大きいことです。5月中旬のリシャッフル(出場の優先順位を入れ替える制度)のあと、ほとんどの試合に出場できるようになると思います。
——出場できる試合が増えれば優勝の可能性も広がりますね。
片平 可能性はあると思いますよ。あとは、同じく予選会を突破して参戦している古江彩佳選手や3月にツアー初優勝を挙げているアタヤ・ティティクル選手(タイ)など、今シーズンのルーキーオブザイヤー(新人賞)争いの行方も見逃せないです。
——楽しみですね。ありがとうございました。