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「試合中もずっとゲラゲラ笑っている」「子どもに『このコースどう?』って」5カ国語を操る笹生優花(20)が米ツアーで愛されまくる理由とは?
posted2022/03/31 11:05
text by
南しずかShizuka Minami
photograph by
Getty Images
昨年の全米女子オープンでメジャー初制覇を達成し、今季から米女子ツアーに本格参戦する笹生優花(20歳)。豪快なティショットと正確無比なアプローチを武器に、シーズン序盤戦からトップ10入りを2戦連続で果たすなど、早くも優勝の予感を漂わせている。
そんな笹生を「ゴルフに集中しつつも、楽しんでいるという印象を受けます」と評するのが、WOWOWの中継レポーターを務める片平光紀(元世界アマチュアランキング1位)だ。世界トップレベルの選手が揃うツアーで実力を発揮できる要因は何か。その1つに“コミュニケーション力の高さ”を挙げた。
笹生と“一緒に回りたい”と思う選手が多い?
――笹生選手が出場した今季初戦から3試合を現地で取材したと伺いました。「楽しんでいる」と感じた理由は?
片平 1月下旬の2戦目「ゲインブリッジLPGA」の予選ラウンドで、笹生選手は昨年、新人賞を受賞したパティ・タバタナキット選手(タイ)と同組でプレーしていました。年齢が近い2人はジュニア時代から友だちのようで、プレーの合間によく笑い合っていたんです。
――昨シーズンもアメリカでの試合を多く経験してきたとはいえ、まだ新シーズン序盤。緊張感がある中で、“楽しく”ラウンドしていたと。
片平 そうですね。同日のホールアウト後、タバタナキット選手に「笹生選手とどんなこと喋ったの?」と聞いてみると「優花は本当に面白い!」と嬉しそうに教えてくれました。たわいもない話ばかりだったようですが、ラウンド中にもかかわらず、2人ともゲラゲラ笑っていましたね。タバタナキット選手は「打つ前にやばい、やばい! ゴルフに集中しないと! と仕切り直して、深呼吸しないといけないぐらい楽しかった」と言っていました。
――プレー中にそこまで盛り上がるというのは、あまり聞かないですよね。笹生選手は他の選手とも積極的にコミュニケーションをとっていたのでしょうか?
片平 分け隔てなく、いろんな選手と話していますね。今季3戦目『ドライブオン選手権』の初日はギャビ・ロペス選手(メキシコ/28歳)と同組でしたが、プレーしている合間にどっちが身長高いか測ったりして、和気あいあいという感じ。笹生選手は16番で右のハザードに捕まり、そのホールだけで8打も叩いてしまったのですが、その後もロペス選手と笑顔で話していました。
プレーするときは集中し、プレーしない時は和やかに楽しく。気持ちの切り替えがしっかり出来るメンタルが凄いと思います。自分の調子が良い時だけ、誰かに話しかけるということではないです。試合後のインタビューでも「あれ(8打)はやっちゃったんでしょうがないです」とサバサバ。ミスを引きずることなく、翌日はしっかり攻めのゴルフをしていました(初日は+5、2日目は-5 ※同大会はCUT)。
――プレー以外ではどんな様子でしたか?
片平 2戦目の練習日、ルーキーのチェ・ヘジン選手(韓国/22歳)と笹生選手が同じグリーンでパット練習をしていました。笹生選手は韓国語を少し話せるので、そこでも2人でゲラゲラと笑っていました(笑)。
――本当に誰とでも仲良くしているんですね。
片平 笹生選手はフレンドリーなだけでなく、プレーの迫力もあるので一緒に回りたいと思う選手は多いと思いますよ。ペアリング(選手の組み合わせ表)を見て、喜ぶ選手がいるぐらい。