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渋野日向子「自分のゴルフをやり切った」優勝逃したのになぜ笑顔? 現地レポーターが感じる確かな成長「新人賞争いも見逃せない」
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byKYODO
posted2022/04/18 17:01
米女子ツアー・ロッテ選手権で優勝争いを繰り広げた渋野日向子。惜しくも2打差の2位に終わったが「やり切った」と笑顔を見せた
——片平さんは以前、渋野選手の好調の要因に「ウェッジの使い方」を挙げていました。
片平 グリーン周りから上げたり、転がしたり、いろんなタイプのショットを打ち分けていて、今回もあと一転がりでチップインという場面が何度もありました。最終日8番パー4のつま先下がりの難しいバンカーショットをすごく上手く打ってパーセーブしたシーンも印象に残っています。
——米ツアーで戦う上でアプローチは課題の1つでした。そのあたりにも成長を感じますか?
片平 成長スピードはすごく速いと思います。アプローチで苦戦していたからこそ、バッグにウェッジを4本も入れていると思うんですが、今は苦戦どころか、どこからでも入れてくるような雰囲気があります。
——実際に数字にも現れています。今大会の渋野選手のパーオン率は73.61%(4位タイ)。なぜ急成長できたのでしょう?
片平 それは渋野選手の性格が関係していると思いますね。明るく、楽しくプレーするだけでなく、真剣にゴルフに取り組んでいる姿を現地でよく見かけます。たとえば夕方にホールアウトし、次の日は早朝スタートという時でも、渋野選手は日が暮れる前にちゃんと練習する。普通は早めに休みたいと思うのが自然だと思いますが、翌日に向けてどうやったら良いスコアを出せるだろうとすぐ切り替えて練習できるメンタリティがすごいです。向上心も高いと思います。シェブロン選手権3日目に「77」という今季ワーストスコアを叩いてしまった時も、練習場に直行していましたから。
——コースマネージメントも上手くなっている。
片平 右コーナーのタイトなピンの場合、直接ピンを攻めずに、しっかり左サイドから乗せるなど、マネージメントとショットには自信を持っているなと感じました。特に最終日の6番パー4のピンポジションは難易度が高く、左の池のすぐ近くにピンが切ってありました。そこでピンの5ヤードぐらい右を狙って、しっかりバーディチャンスつけていました。バーディは取れませんでしたが、この辺りの攻め方にも成長を感じます。
決勝ラウンドはノーボギー
——3打差2位タイで迎えた最終日。成長は感じさせるも、わずかに優勝には届きませんでした。
片平 惜しかったですね。ただ、土日の決勝ラウンドはノーボギー。これ以上ないというぐらい良いプレーをしていたと思います。
——最終日の途中から、優勝争いはキム・ヒョージュ選手と渋野選手の一騎打ちとなりました。どんな雰囲気でしたか?
片平 負けたくない、ピリピリとした緊張感……という雰囲気は感じなかったです。キム選手も渋野選手も、自分のゴルフを精一杯頑張って、お互いの良いプレーには「ナイスショット」「ナイスバーディ」と声を掛け合っていました。現地でもそのスポーツマンシップは称えられていました。とても良い最終組でしたね。